タイトルだけを見ると、
「え?今まさに呼吸できてるけど?どうゆうこと?」
と思われる方が多いと思います。
この記事では私たちが生きる上で最も大切な生命活動とも言える「呼吸」を取り上げます。
早速、タイトルの「しっかり呼吸出来ていない」の真意を見ていきましょう。
目次
あなたの呼吸は浅くなっているかも?
ほとんどの人が自分の呼吸が浅いか深いかなんて考えたこともないと思います。
なぜなら、人は皆生まれたときから呼吸し始め、現在まで無意識に息をし続けたからです。
無意識で行っている行為だけに、「呼吸」に注意を向ける機会がなかなか持てないのは仕方のないことですが、無意識であるからこそ本質的かつ重要なことと言えます。

というのも、人間は食べ物を全く口にしなかったとしても、水さえあれば2~3週間は生きられます。
対して、呼吸ができなくなるとものの15分で心肺停止状態になってしまいます。

そんな生命の根幹とも言える「呼吸」ですが、「深く、しっかり」呼吸できていない人が現代人には多いと思われます。
今まで浅かった呼吸が深くなっていくと、身体はどんどん良くなっていき、自然と生命力が向上していくことでしょう。
酸欠状態の恐ろしさ
呼吸は表面的に見れば酸素(O2)を吸い、二酸化炭素(CO2)を出す、というガス交換にしか見えませんが、このガス交換が生きる上で非常に重要な役目を担っています。
酸素を体内に取り入れることは、細胞の中にあるミトコンドリアと呼ばれる小さな器官でATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー源にを生み出すことに繋がります。
こうして、吸入された酸素は私たちの身体に張り巡らされている毛細血管に行き渡り、脳、心臓、肝臓、腎臓、肺臓、筋肉、そのた各種器官の活動の維持を支えています。
よって、身体に取り込む酸素量が少なくなると、身体全体に酸素が充分に行き渡らなくなり、結果その少ない酸素でなんとかやり繰りをしてバランスを取ろうとします。
生命維持のためには「死なない」ことが最優先となるので、脳や心臓などの大事な器官に酸素が優先的に配分され、身体を動かす筋肉には充分な量の酸素が供給されなくなってしまうのです。
このようにして、身体の機能は確実に衰えているにもかかわらず、「なんだか疲れやすいな」と思うくらいで、日常生活に特別な支障を感じないのです。
そしてこの「自覚できない酸欠状態」が浅い呼吸の恐ろしい点と言えるでしょう。
呼吸を確認・改善してみよう
ここまで読んでいただいて、自分の呼吸が浅いかどうか知りたい方も多くいるのではないでしょうか?
そしたら、呼吸が浅くなっていないか確認するために、普段自分がいつもどのように呼吸しているか見ていきましょう。
- まず上記のイラストのように、肺が空っぽになるまで息を吐き切り、その後ゆっくりと大きく限界まで空気を吸ってください。
- そしてらその時の身体の感覚(どこが動いたか、どこが膨らんだか、など)をよく観察・記憶します。
- どんな風に身体が動いたか感覚が掴めるまで、数回吸ったり吐いたりを繰り返しましょう。
その感覚が掴めたら、今度はこちらの骨格図(正面)を見てください↓

この画像を見ると、私たちの肺は上は鎖骨、下は肋骨まで、大きく広がっているのが分かります。
- 今度は自分の身体の中の肺が上記の画像のように大きく広がっていることをイメージします。
- そうしたら、先程と同じようにゆっくりと深呼吸してみてください。
- 今度も、自分の身体のどこがどのように動いたか自分の感覚に聞いてみてください。
いかがだったでしょうか?
最初の深呼吸のときと比べ、胸の上部・鎖骨近辺が膨らんでいないでしょうか?
そしたら最後はこの骨格図(よこ)をご覧ください。

この画像を見ると、私たちの肺は背中側にも大きく広がっているのがわかります。
- 自分の身体の中の肺が上記のイラストのように背中にまで大きく広がっていることをイメージします。
- 例によって、深呼吸します。
- これもまた、自分の身体の動き・膨らみを観察します。
どうでしょうか?
1回目の深呼吸と比べ、たいぶ肺の中に空気が入ってくるように感じているのではないでしょうか?
この呼吸した時の感覚の違いは何が原因だったのでしょうか?
その違いを生み出した原因はずばり「意識」です。
あなたは、1回目に深呼吸したとき、上記のイラストのように「肺という臓器の大きさを実際よりも相当小さくイメージ」していたのではないでしょうか?
この「意識」とは相当侮れないものでして、実際には肺は胸全体に広がる大きな臓器であるにもかかわらず、「意識」が肺を小さくイメージしていた場合、その分に収まる量の空気しか吸えません。
ですがあなたはもう違います。
「肺という臓器は胸全体に広がる大きな臓器」という認識を持てています。
この認識を持つだけでも、あなたの呼吸は以前と比べて格段に深まるはずです。
深い呼吸がもたらす恩恵
取り込む空気量が多くなればなるほど、体内に流れる酸素も増えるため身体全体が元気になっていきます。
この変化は元々の呼吸が浅ければ浅いだけ特段実感できることでしょう。
深い呼吸で身体が変わる
先にも述べたとおり、酸欠状態になると筋肉に十分な量の酸素が行き渡りません。
そして、もしそのことが原因で「肩が上がらない」「肩がよく凝る」場合、深い呼吸を身に付けるだけで悩みを解消できるはずです。
他にも、骨盤の歪みや左右の脚の長さの違いが改善されるなど、呼吸が深くなれば自然と人間本来の健康的な身体に変わっていきます。
深い呼吸で運動能力がアップする
これまた筋肉の話になってしまいますが、身体全体の筋肉に十分な量の酸素が供給されれば、当然運動能力もアップします。
今まで少ない酸素の量でやりくりしていた筋肉達がお腹いっぱいに酸素を取り入れることで、身体はより効率的で本来あるべき姿で動くようになるでしょう。
また、これにより「怪我をしにくい身体」になるので、アスリートや高齢者にとっては特に重要なポイントと言えるでしょう。
深い呼吸で心が安らぐ
呼吸の状態は人間の心、精神にも深く関わっています。
人間にとって酸素は非常に大切なものなので、呼吸が浅いと生命の危険を感じ、不安感を抱きやすいです。
そして深呼吸をすれば一時的にでも、リラックスした感覚を味わえるのです。
さらに、今まで呼吸が浅かった人が、先ほど説明した3回目の深呼吸のように肺が胸全体に広がっている感覚を持ちながら空気を吸えば、心が深く安らぎ、気持ちが前向きになったり、イライラが解消される程のインパクトを感じることもあるでしょう。
おすすめのエクササイズ
肺のイメージが「胸の前方にポツンとある」という意識から、「胸全体に広がる大きな臓器」という認識に変わるだけでも呼吸は深くなります。
これだけでも十分身体の感覚が変わると思いますが、どうしても何かに取り組んでいるとき、ストレスを感じるときなど、今までと同じように呼吸が浅くなってしまう場合もあると思います。
そういった場合を防ぐ、つまり無意識下でも深い呼吸が出来る状態に近づけるエクササイズを紹介します。
- 仰向けになって足をイスに乗せる。
- お尻の下に厚さ5~10cmのクッションを入れる。
- しばらくすると、お腹の力が取れて自然と深い呼吸になる。
上記のエクササイズを毎日少しずつ実践すれば、呼吸の質が変わり、より深い呼吸を身体のデフォルトの状態にさせることが出来るかもしれません。
また、このエクササイズをやるのが面倒くさければ、「不安を感じる」「落ち着きたい」ときなどに「胸全体に広がる大きな臓器をイメージしながら深呼吸する」と覚えておくだけでも、相当気分が楽になると思います。
おわりに
いかがだったでしょうか?
この記事では普段ほとんど意識しないであろう「呼吸」に注目してみました。
元々僕もとても呼吸が浅い方だったので、この知識を知ってからは意識的に深く呼吸するように心がけています。
皆さんも是非試して自分の身体で体感してみてください♪
それでは今日はこのへんで〜!