【ケトジェニックダイエットとは?】やり方・効果・仕組みを完全解説

食事

 

こんにちは!

健康オタクのセンです。

 

この記事ではケトジェニックダイエットのやり方効果仕組みといったことについて解説していきます。

具体的には、以下のようなトピックについて話していきます。

 

  • ケトジェニックダイエットの仕組み
  • ケトーシス状態になる方法
  • ケトアダプテーションとは?
  • ケトジェニックダイエットを行う際の注意点
  • ケトジェニックダイエットと体脂肪・筋肉・健康の関係性
  • ケトジェニックダイエットはどんな人に向いているのか?

 

それでは早速見ていきましょう!

 

ケトジェニックダイエットとは

玉ねぎとアスパラガスの魚

 

ケトジェニックダイエットとは、「糖質の摂取を制限することで、体内でケトン体の生成が促進される食事法」のことを指します。

ケトン体は、血中のブドウ糖、および肝臓に蓄えられているグリコーゲンが枯渇したときに肝臓で生成されます。

 

ケトン生成プロセス時には、肝臓はアセチルCoAを以下の3つのケトン体に変換します👇

 

  1. アセト酢酸
  2. β-ヒドロキシ酪酸
  3. アセトン

 

ケトン生成プロセス

Ketogenesis - Wikipedia

Wikipedia

Acetoacetate:アセト酢酸、β-hydroxybutryate:β-ヒドロキシ酪酸、Acetone:アセトン

 

肝臓で生成されたアセト酢酸は、β-ヒドロキシ酪酸というケトン体に変化します。

ケトン体は脂肪酸と違い水溶性であるため、血液の流れに沿って骨格筋や心筋、腎臓、脳といった身体の様々な組織に運ばれていきます。

そしてケトン体はそれぞれの組織の細胞内で再びアセチルCoAに変換された後、TCA回路で代謝されてエネルギー源となります。

特に脳では、脳のメインエネルギーであるグルコースが枯渇したときに、ケトン体はグルコースの代替エネルギーとして使われるため、脳にとって非常に大切なエネルギー源と言えます。

 

また、ケトン生成プロセスの最終産物であるアセトンは、エネルギー源にはなりません。

アセトンは揮発性の物質のため、呼気に含まれて大気中に放出されていきます。

 

ケトーシスとは?

ケトーシス」とはケトン体が体内で一定量生成されている状態のことを指します。

ただし、「ケトン体が体内でどれほど生成されていればケトーシスと言えるのか」という明確な定義は存在しません。

 

ケトーシスに入っている」という概念が生まれたのは、ステファン・D・フィニー博士(Dの一族?)とジェフ・S・フォレク博士が「ケトーシスのスイートスポット」という概念を提唱してからです👇

 

ケトーシスのスイートスポット

The Art and Science of Low Carbohydrate Performance

 

ケトーシスの定義となる具体的な数値は明確ではありませんが、体内で生成されるケトン値が0.5mmol/Lに達すると、脳がケトン体をエネルギーとして優先的に使うようになるため、一般的にはこの0.5mmol/Lという数値がケトーシスに入ったかどうかの境目とされています。

 

ケトーシスの入り方

ではどのように体内のケトン体の生成を促進しケトーシスに入るのかというと、先ほども述べた通り糖質の摂取を制限することによって肝臓においてケトン体の生成が始まります。

そして0.5mmol/L以上のケトン体が生成されるようになるには、最低でも2日ほどかかります。

 

糖質制限の具体的な数字としては、長期的なケトーシス状態を保つためには、日々の糖質の摂取を20~50g程度に抑える必要があります。

ただ、この数値には個人差があり、中には192gもの糖質を摂っていたとしてもケトン体が生成されていたケースもあります。(論文

しかしこのケースはあくまで例外なため、大抵の場合は20~50gに抑える必要があると思います。

 

また、注意点としてこの20~50gという数字は炭水化物ではなく糖質の量であるということです。食物繊維は糖質としてカウントされないため、食物繊維の摂取量は気にする必要はありません。

 

ケトアダプテーション

糖質制限を開始してから2週間もすれば、これまでグルコース優位だった代謝が、ケトン体をメインのエネルギー源として使うようシフトします。

このように代謝がケトン体に適合していくことを「ケトアダプテーション」と言います。

 

そしてこのケトアダプテーションになる過程・結果で私たちの体に様々な変化が生じていきます。

 

ケトフル

ケトジェニックダイエットを開始してからの2~5日目にかけて、「ケトフル」と呼ばれる症状に襲われることがあります。(インフルエンザの「フル」と同じですね)

具体的には、頭痛、糖の渇望、無気力、筋肉疲労、痺れ、便秘などの症状です。

 

ケトジェニックダイエットを批判したり、実践してもすぐに挫折してしまう人は、大抵の場合この「ケトフル」に耐えられないことが主な理由です。

しかし、この「ケトフル」が現れるのには原因があり、ちゃんとその原因に対処すればこの「ケトフル」の症状を防ぐことができます。

 

では「ケトフル」が起こる原因は何なのかと言うと、「体内の電解質が欠乏するから」です。

具体的には、「カリウム」「マグネシウム」「ナトリウム」といったミネラルの欠乏です。

糖質を制限するからといって、肉や魚ばかり食べて野菜を食べずにいると、上記に挙げたカリウムやマグネシウムは野菜に豊富に含まれているため欠乏しがちになります。

また、ケトジェニックダイエットの実践により、抗ナトリウム排泄作用のあるインスリンの分泌量が減少し、ナトリウムが体の外に出ていきやすくなります。

こういったミネラルの欠乏により「ケトフル」という症状が現れるため、ケトジェニックダイエットの実践において「ネラルを意識して確保していくことがマスト」なのです。

 

ちなみに僕が初めてケトジェニックダイエットを実践したときは、「ものは試しだ」と思って上記の知識を知らずに行なったため、無事ケトフルの症状に襲われとても辛い思いをしました(笑)

なのでこれを読んでいる皆さんはケトジェニックダイエットを行う場合、僕のように辛い思いをしないためにも、必ずミネラルの確保は徹底するようにしてください♪

 

では具体的にどれくらい摂取する必要があるのかと言うと、目安は以下の通りです👇

 

  • ナトリウム:5000 ~ 7000 mg
  • カリウム:1000 ~ 3,500 mg
  • マグネシウム:300 ~ 500 mg 

 

食事から摂取するのが難しい場合はサプリメントを活用してみてください。

 

白と灰色の石片

 

心理的・認知的影響

ケトジェニックダイエットは心理的および認知的な影響も与えると考えられていますが、その影響は個人差が大きいようです。

 

例えばこの研究では、ケトアダプテーションを獲得した後は、多くの人が認知的パフォーマンスおよびウェルビーイングが向上したと報告しています。

それに対してこちらの研究では認知機能は炭水化物の摂取量には影響されないという結果が出ています。

 

そしてこちらの研究では、ケトーシス状態において人がどのように感じるかは、個人によって大きく異なることが示唆されています。

ケトジェニックダイエットは体内における代謝機構の変化が大きいこともあり、心理的および認知的な影響に関して現時点の研究成果では明確な答えを出すのが難しく、今後のさらなる研究が必要になりそうです。

 

食欲の変化

ケトジェニックダイエットを実践する最大の利点と言ってもよいのが、「食欲の抑制」です。

 

多くの研究において、ケトジェニックダイエットが食欲を抑えることが報告されています。

そしてダイエットで大幅に体重を減らした後(通常であればレプチンの減少により食欲は増える)でも、空腹感が少なかったと報告されています。

ただし、この食欲抑制効果が出るまでにはある程度の時間がかかり、この研究では3週間程かかることが報告されています。

 

一般的にケトジェニックダイエットは痩せやすいとされていますが、その要因はケトジェニックダイエット自体に魔法の力があるからではなく、食欲を抑制することによって結果的に摂取エネルギーが減少しやすくなるからです。

 

ケトジェニックダイエットと筋肉の関係性

正面に面した黒いスポーツブラを着ている女性のセレクティブフォーカス写真

筋肉をつけるためには炭水化物の摂取が必須である」というふうに考えている人が多くいるように感じます。

そのためケトジェニックダイエットでは筋肉を付けることは出来ないという風潮も存在します。

 

しかし、こちらの記事でも解説している通り、炭水化物の摂取は筋肉を付ける上で必須ではありません👇

筋トレに必要な炭水化物の量はどれくらいなのか?

 

よってケトジェニックダイエットでも筋肉をつけることは十分に可能です。

論より証拠ということで、こちらの画像を見てください👇

 

Luis Villasenor

Medium

 

Luis Villasenor氏はketogainsと呼ばれる会社を設立し、ケトジェニックダイエットを通してダイエットや筋トレのサポートおよびコーチングを行なっています。

僕も2021年末に彼が主催しているブートキャンプに参加しました。

彼はこれまで20年近くもの間ケトジェニックダイエットを実践しており、その上で上記の写真のような肉体を手に入れています。

 

また、更なる証拠として多くの研究がカロリーとタンパク質の摂取量を等量にした場合、ケトジェニックダイエットと炭水化物食の間では体型の変化および筋力パフォーマンスに違いはないと結論づけています👇

 

  • 身体組成およびパワーリフティングのパフォーマンスにおいて、グループ間で有意差は認められなかった(研究
  • 周期的ケトジェニックダイエットとタンパク質とカロリーをマッチさせたWHO推奨の食生活との間で、身体組成に有意な差はなかった(研究
  • ケト食と低脂肪食の比較で、脂肪の減少およびFFM(除脂肪体重)の保持割合が同程度であった(研究
  • ケト食と炭水化物55%の食事との比較で、同様の脂肪減少、筋肉維持、筋力向上が見られた(研究

 

なのでケトジェニックダイエットを行なったら筋肉が付かないのではないか、あるいは落ちてしまうのではないか、と心配している方は安心してケトジェニックダイエットを実践してください!

 

ケトジェニックダイエットの安全性・健康効果

スライスしたグリーン アボカド フルーツ

ケトジェニックダイエットの安全性

ここまでケトジェニックダイエットの仕組みや身体に与える影響について話してきましたが、「そもそもケトジェニックダイエットって安全なの?」「なんか怪しくない?」と思っている人もいるかもしれません。

 

実際はケトジェニックダイエットは正しく行えば至って安全な食事法です。そして「ケトーシス」というのは身体の異常状態や病気という訳では全くなく、機能的かつ適応的な状態と言えます。

人類の長い歴史を見てみれば、ケトーシス状態がむしろ人類にとって通常の状態であったと言えます。

なぜなら現代のようにいつでもどこでも好きなタイミングで食べ物を得られるようになったのはつい最近のことであり、食糧が中々見つからず必然的に断食していたのが過去の人類の姿だったはずです。

 

また、ケトン体は人間のエネルギー産生の正常な一部分です。実際、ケトン体は血液中にほぼ常にある程度存在しており、ケトーシスは連続的に発生しています。

そしてケトン体は激しい運動や、睡眠による断食を含む絶食時により生成されやすくなります。

 

そして多くの研究においてもケトジェニックダイエットの実践により健康指標に悪影響が生じることはなく、むしろ体脂肪の減少や健康を増進する上で効果的な食事法であるとされています。

 

ケトジェニックダイエットの健康効果

ケトジェニックダイエットは、適切に実施されれば安全で健康的ですが、「高炭水化物ダイエットよりも普遍的に健康的であるとは言えない」ようです。

 

2014年に行われたメタアナリシスでは、ケトジェニックダイエットの全体的な心代謝系健康効果は、高炭水化物ダイエットと有意な差はないとしています。

また、2012年に行われたメタ分析では、低脂肪食はLDL-コレステロールの減少に優れ、低炭水化物食はHDL-コレステロールの増加と中性脂肪の低下に優れているが、全体的な心代謝系健康の向上はグループ間で同様であったと報告しています。

 

よって、健康な人にとっては、ケトジェニックダイエットは高炭水化物ダイエットと同じくらい健康的であり、炭水化物の摂取量よりも食品の選択など他の要因の方が重要であると考えられます。

しかし、ケトジェニックダイエットは、インスリン抵抗性を持つ人にとって固有な健康上の利点をもたらす可能性が高いです。

炭水化物不耐性の人は通常、平均血糖値が高く、高炭水化物摂取時の血糖値上昇が大きいため、ケトジェニックダイエット(低炭水化物食)は血糖値、ひいては炎症、心血管の健康状態を維持するのに役立ちます。

しかし、こういった利点は、引き締まった筋肉質な体になることと比べると健康に与える影響は小さい(筋肉量および脂肪量の多寡は私たちの健康指標に大いに影響を与えます)ため、

高炭水化物食でも全然痩せられるし筋肉も増やせる!」という人は無理にケトジェニックダイエットを実践する必要はないでしょう。

 

また、先ほどケトジェニックダイエットは高炭水化物食と比べて心血管系の健康において特に差はないと述べましたが、神経系およびガンに至ってはケトジェニックダイエット特有の利点がある可能性があります。

元々ケトジェニックダイエットは、てんかんをコントロールするための確立された治療法であり、ケトーシスに神経保護効果があることを示す証拠が多く蓄積されています。

 

 

  • アルツハイマー病のリスクを抱える高齢者において、ケトン体の血中濃度が記憶力と相関し、ケトジェニックダイエットにより全体的な認知機能が改善された(研究
  • ケトジェニックダイエットは、パーキンソン病にも治療効果がある(研究
  • ケトジェニックダイエットは偏頭痛を改善する可能性がある(研究
  • ケトジェニックダイエットは、重度の外傷性脳損傷の悪化を防ぐ可能性がある(研究
  • ケトジェニックダイエットは、特定の種類の癌の進行を減少させるかもしれないという研究結果がある。がん細胞の多くは解糖系(グルコース代謝)に依存し、ケトン体を利用できないため、ケトジェニック食はこれらのがん細胞を飢餓状態にすることができると考えられる(研究

 

 

結論としては、ケトジェニックダイエットは正しく行えば至極安全であり、タンパク質、エネルギー、食物繊維、微量栄養素の摂取量が同じであれば、高炭水化物ダイエットと似たような健康効果が得られます。

また、ケトジェニックダイエットはてんかんの標準的な治療法であり、インスリン抵抗性のある人には高炭水化物食よりも効果的な食事法である可能性が高いです。

さらには特定の神経疾患やがんに関しては、ケトジェニックダイエット独自の健康効果をもたらす可能性があるようです。

 

 

ケトジェニックダイエットはどんな人におすすめ?

これまで長々とケトジェニックダイエットについて解説してきましたが、結局ケトジェニックダイエットはどんな人および目的に向いている食事法なのでしょうか?

以下に向いてる人・不向きな人のそれぞれの特徴を挙げています👇

 

こんな人におすすめ

 

  • インスリン抵抗性のある人(肥満体型の人に多い)
  • 食欲が強い・止まらない人
  • 神経性の障害がある人
  • 慢性的な炎症がある人

 

 

こんな人には不向き

 

  • 食事を制限されることを苦痛に感じやすい人
  • 飲み会や会食、外での食事、旅行が多い人
  • 甲状腺障害を持つ人

 

 

やはりケトジェニックダイエットのメリットは何と言っても「食欲の抑制」なので、「ついつい食べ過ぎてしまう」「食欲が止まらない」なんて悩みを持つ人にとっては特にオススメです。

 

まとめ

それでは今回の記事の要点をまとめます。

 

  • ケトーシスに入るためには糖質を日々20~50gを目安に摂取する
  • ケトフルの症状を緩和するためにも、「ナトリウム」「カリウム」「マグネシウム」を必ず十分量確保する
  • ケトジェニックダイエットを行う最大のメリットは「食欲の抑制」である
  • ケトジェニックダイエットでも筋肉は成長する
  • ケトジェニックダイエットは正しく実践すれば非常に安全な食事法であり、インスリン抵抗性・神経性疾患・ガンなどに悩む人にとって特に有効な食事法だと考えられる

 

それではまた別の記事でお会いしましょう!