こんにちは!
健康オタクのセンです。
この記事では「16時間断食の効果」について解説していきます。
具体的には、以下のようなトピックについて話していきます👇
- 朝食って抜いた方がいいの?
- 16時間断食って痩せれるの?
- 16時間断食の筋肉に対する影響は?
- 16時間断食と健康の関係性
それでは順番に見ていきましょう!
目次
16時間断食とは
まずそもそも「16時間断食とは何なのか」ということですが、1日の24時間のうち、口の中に食べ物を入れない時間(つまり断食)を16時間作り、残りの8時間の範囲内で食事をする食事法のことを指します。
英語では「Intermittent Fasting(間欠的断食)」というふうに言われるのが一般的ですが、日本では「リーンゲインズ」や「プチ断食」というふうに言われたりもしますね。
16時間断食は食事をする時間を8時間の範囲内に収めさえすればいいので、その8時間を何時から何時に設定するかは自由です。
ただ一般的には朝食を抜いて、例えば12:00~20:00の間にランチと夕食を食べて計2食、というのが最も一般的なように感じます。
朝食は食べるべきか
16時間断食の実践を考える上でも関係し、健康とかダイエットの界隈でよく議論されてるのが、「朝食は食べるべきなのか」というのがあります。
朝食は摂るべき派がよく引き合いに出すのは、「朝食を抜く人は肥満率が高い場合が多い」ということを示した研究です。
ただこの研究はあくまで人々に対するアンケートを実施した上での結論なので、「朝食を抜く=肥満になる」という因果関係が成り立つわけではありません。
上記の研究でこのような結果が出た理由としては、「朝食を抜く人は一般的に普段の食生活や生活のリズムが乱れがちになるから」と考えられますが、
朝食を抜いていたとしても、ちゃんと暴飲暴食せずに規則正しく食べていれば肥満率は変わらないことも十分にあり得ます。
そして実際に体重減少の違いを比べた研究によると、規則正しい食生活であれば朝食を抜いても抜かなくても、どちらでも同じように効果があることが示されています。
規則的な食生活が健康のカギ
上記でも述べた通り、健康に影響を与えるのは実は「朝食を食べるか食べないか」ではなく、「食生活が規則的かどうか」であると考えられます。
実際、不規則な食生活の健康に対する悪影響を示す研究は以下のように多くあります👇
- 食後のインスリン感受性の低下(研究)
- 血糖値の上昇(研究)
- 食欲の概日リズムの乱れによる、空腹感の増加(研究)
- コルチゾール産生の概日リズムの乱れ、およびコルチゾール産生の総量の増加(研究)
- 血圧の上昇(研究)
- 食事による熱産生の低下(研究)
よって自分の健康や体調を整える上では、「断食をするかしないかよりも、規則正しく食事を取ること」に注意を向けるようにしましょう♪
16時間断食と脂肪の減少
おそらく「16時間断食をやろう!」と決める人の多くがダイエット目的で始めるかと思います。
そこで、16時間断食は通常の食事タイミングに比べ痩せやすいのか見ていきます。
有難いことに、通常の食事と断食をした場合の比較(カロリー摂取量、およびタンパク質量を等量に設定)をした研究は複数存在します。
例えば、こちらのメタアナリシスでは肥満体型の人々を対象にした間欠的断食の効果を測定しています。
その結果、通常のカロリー制限食と間欠的断食をおこなったカロリー制限食による体重減少の効果は両者共に違いはなかったことが分かりました。
またこちらの研究では、朝食を食べるか食べないかに関わらず、規則的なタイミングで食事をしていれば、体脂肪の減少および体組成の変化において差はないと結論付けています。
さらに、複数の研究を分析したシステマティック・レビューにおいても、断食をした場合と通常の食事のおいて、脂肪量の減少に大きな差は見られないとしています。
つまり、一定時間食べない時間を作ることで魔法のように痩せられるという訳ではなく、どれだけ体脂肪を減らせるかは結局は摂取カロリー次第ということですね。
16時間断食と筋肉の成長
次に「16時間断食と筋肉の関係」について見ていきましょう。
伝統的なボディビルディングの考え方としては、「筋肉の成長を最大化するためには3~4時間おきに食事を取る必要があり、断食なんてもっての外である」というふうに言われます。
ただ、そんな風潮を覆したのが、「リーンゲインズ」というダイエット法を考案したMartin Berkhanでした。
それまで頑張って1日6食とかを食べていたボディビルダーにとって、1日の8時間の間に2食だけ食べればよいというのは天国のように感じたことでしょう。
比較的簡単に実践でき、継続もしやすい食事法ということもあって、リーンゲインズは瞬く間に広まっていきました。
ただやはり気になるのが、「断食をしたら筋肉の発達が滞るのではないか?」、「そして最悪の場合次第に減っていくのではないか?」という点ですよね。
こういった疑問を解消するために断食の筋肉および体組成に与える影響を調べた研究がいくつかあるので紹介します。
2019年に女性のトレーナーを対象に行われた研究では、以下の2つのグループに分けて比較を行いました👇
- 16時間断食グループ(食事をしてもいい時間帯は12:00~20:00、そしてその時間帯の間にトレーニングを実施)
- 朝食食べてOKグループ(基本的にはいつ食べてもよい)
比較の結果、どちらのグループは筋肉の成長、脂肪の減少量、筋力といった指標において大きな差は見られませんでした。
また、2020年に行われたRCT(ランダム化比較試験)でも、男性のトレーナーを対象に同じく16時間断食のグループと断食期間を設けないグループとで4週間後の状態を比較した結果、
両グループの体組成に統計的に有意な差は見られませんでした。(カロリー不足の状態かつトータルのマクロ量は等量)
結局のところ、トレーニングしていてもしていなくても、16時間断食が体型および筋肉に与える影響は特にないようです。
断食は成長ホルモンの分泌を促進する=筋肉が発達する?
断食を実践するトレーナーが主張する断食のメリットの一つに、「断食は成長ホルモンの分泌を促進する」というものがあります。
たしかに断食によって成長ホルモンは何倍にも増加することが分かっていますが、それと同時にIGF-1(インスリン様成長因子-1)の分泌が少なくなります。
成長ホルモン(GH)の分泌は、インスリン様成長因子-1(IGF-1)によりフィードバック制御されています。(フィードバック機構に関してはこちらのサイトがわかりやすいです)
断食により成長ホルモンの分泌が増える要因としては、IGF-1の分泌が低下することにより、フィードバック機構の働きが低下してしまうからと考えられます。
そして、このIGF-1は成長ホルモンよりも筋肥大の促進に影響します。
よって断食により成長ホルモンの分泌が増加することで筋タンパク質分解(MPB)をある程度抑えることは可能ですが、筋タンパク質合成(MPS)には寄与しません。
結論としては、「断食は確かに成長ホルモンの分泌を促進するが、特別筋肉の成長においてメリットがあるわけではない」ということです。
さらに言えば、20時間以上断食を行うと、筋肉の発達と深く関係しているmTORのシグナル伝達が制限されることが分かっています。(研究)
よって筋トレをしている人で断食を実践している場合は、断食をするにしては断食期間は最大でも20時間に留めておくといいでしょう。
断食と健康の関係性
最後に断食と健康の関係性について見ていきます。よく「断食は健康に良い」と言われますが実際のところどうなのでしょうか?
断食の健康効果を示す研究は多くありますが、そのうちの多くがカロリー制限を行なっています。
カロリーを制限すれば必然的に脂肪量が減るため、体脂肪が減少した結果として健康指標は当然改善されていきます。
私たちが知りたいのは、「断食に固有の健康効果はあるのか?」という点です。言い換えると「カロリーが等量である場合、断食しない場合と比べて断食をした方が健康的なのか?」ということですね。
そして結論から言うと、「断食に固有の健康効果はない」と近年の研究から判明しています。
2021年に行われたRCTでは以下の3つのグループに分けて、各健康指標を比較しました。
- 25%のカロリー制限&断食なしのグループ(習慣的なエネルギー摂取量の75%を日々摂取)
- カロリー制限&隔日断食(断食日と摂食できる日を交互に繰り返す)のグループ(全体のカロリー摂取量は①のグループと同じ、つまり食事摂取できる日は習慣的なエネルギー摂取量の150%を摂取)
- カロリー制限なし&隔日断食のグループ(食事摂取できる日は習慣的なエネルギー摂取量の200%を摂取)
そしてこれら3つのグループを解析した結果、
食後代謝の評価において、心代謝系の健康状態や腸内ホルモンの指標、皮下脂肪組織における遺伝子の発現等は、グループ間で統計的な差は認められませんでした。
また、そのほかにも以下のような複数の研究において、断食特有の健康効果が否定されています👇
- 2022年のメタアナリシスでは、断食グループと非断食グループの間には、身体組成、血中脂質、血圧、インスリン感受性、血糖値、インスリン値への影響に有意差はなかった。
- 2022年のシステマティックレビューでは、連続的なエネルギー制限と比較して、間欠的なエネルギー制限は、肥満体型の被験者において、体組成、心代謝、炎症、または食欲といった指標に関して長期的に有意な差を示さなかった。
- 2021年のRCTのシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、他の食事法と比較して、過体重の個人における断食の臨床的健康効果はないことが判明した。
まとめ
それではこの記事の要点を整理します。
- 食事を抜くか抜かないかではなく、不規則な食生活が健康に影響を与える
- 断食の実践により、特別痩せやすくなったり体脂肪を落としやすくなる訳ではない
- 16時間断食の実践により筋肉が落ちてしまうことはない。(ただし、20時間以上の断食は筋肉の発達に悪影響を及ぼす)
- 断食に特有の健康効果がある訳ではない
総じて、断食は巷で騒がれているほど特別なダイエット効果や健康効果がないということですね。
ただもちろん断食はやる価値がないという訳ではなく、特定の食事法が合う合わないは個人差があるので、断食が自分に合っていると感じている方は大いに実践してください♪
それではまた別の記事でお会いしましょう!
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