皆さんは「オプティマルヘルス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
もしかしたら日本ではまだあまり馴染みのない言葉かもしれません。
直訳すると「オプティマル(Optimal):最適な」+「ヘルス(Health):健康」となるので、「最適な健康」と訳すことができます。
この記事ではこの「オプティマルヘルス」の考え方、およびどのように「最適な健康」を獲得すればよいかを解説していきます。
目次
一般的なオプティマルヘルスの定義
まず第一に、「オプティマルヘルス」という言葉はどこから生まれたのでしょうか?
結論から言うと、20世紀後半のアメリカからです。
1979年以来、アメリカの保健福祉省(Department of Health and Human Services)は健康増進と疾病予防を目的に、10年ごとの国民の目標を定めた「ヘルシーピープル(Healthy People)」と呼ばれる運動を推進しています。(「Healthy People 2030」 について知りたい方はこちらからどうぞ)
この「ヘルシーピープル」と相まって、国民一人一人の最適な健康を追求するという意味の「オプティマルヘルス」という言葉が流行したのだと思われます。
それではこの「オプティマルヘルス」の定義とは何なのでしょうか?
人によってオプティマルヘルスの定義は多種多様ですが、「抗加齢医学入門(第3版)・米井嘉一氏著」という書籍では以下のように定義されています👇
オプティマルヘルスとは、それぞれの年齢における心身ともに最も生き生きとした理想的な健康状態を意味する。
例えば40代には40代の健康、50代には50代の健康、そして80代には80代の最適な健康の形があるという考え方です。
ただし、80代の最適な健康状態を獲得するうえで、80歳になるまでは不摂生な生活をしても構わないというわけではなく、当然それぞれの年代(生まれてから死ぬまで)におけるオプティマルヘルスを常に追求する必要があります。
人間の3つの状態
健康を考える上で、私は人間の状態を以下の3つに分類できると考えています👇
- 病気の状態
- 未病の状態
- 健康な状態
「オプティマルヘルス」とはまさにこの「健康な状態を生涯にわたり維持していくこと」と言えます。
そしてあくまで私の主観ではありますが、「現在の世界の人々の健康状態(実線)」を人口あたりで見ていくと以下のようにグラフの山が左側に寄っていると思われます👇

またこの状態から、上記グラフのように「理想的な人間の健康のあり方(破線)」に大きくシフトさせることが、「人類1人1人の幸福の実現およびQOLの向上」の貢献に繋がると考えていると同時に、それが私の使命であると認識しています。
ただし、私はただ健康になりさえすればそれで良いと言っているわけではありません。
私は「健康はあくまで手段であり、目的ではない」と考えています。
どうゆうことかと言うと、私が考える目的とは「身体活動・精神活動・知的活動・美的活動などの、ありとあらゆる人間活動において個人の能力を最大限発揮し、人生の楽しさおよび面白さに歓喜、そして没頭すること」です。
つまり、「最適な健康の状態になることではじめてその人の様々な活動において能力を最大限に発揮するための土台が出来上がり、その結果人生を最大限に楽しむことができる」ということです。
では、そのオプティマルヘルス(最適な健康)を獲得するには具体的にどうすればいいのでしょうか?
オプティマルヘルス(最適な健康)の考え方とは?
それではこれより私が考える「オプティマルヘルスの枠組」を述べていきます。
私はオプティマルヘルス(最適な健康)な状態を獲得するには、大きく分けて以下の3つのパートを押さえる必要があると考えています。
- 「メンタル」「食事」「睡眠」「運動」の4つの領域
- 「心的機能」「認知機能」「身体機能」の3つの機能
- 「全体性」「個別性」の2つの概念
以下よりそれぞれ詳しく解説していきます👇
「メンタル」「食事」「睡眠」「運動」の改善
我々の健康は大きく分けて以下の4つの領域で構成されていると言えます👇
- メンタル
- 食事
- 睡眠
- 運動
事実、世の中に出回る多くの健康本や病院における治療・療法(外科手術や薬の処方は除く)はこの4つの領域(またはその組み合わせ)に当てはめることができます。
健康本
- メンタル:HSP、アダルトチルドレン、うつ病からの脱出法など
- 食事:腸内環境、ダイエット法、食事理論など
- 睡眠:睡眠生理学、睡眠科学、睡眠メソッドなど
- 運動:筋トレ法、ランニング理論、正しい呼吸・姿勢法など
病院における治療・療法(外科手術や薬の処方は除く)
- メンタル:認知行動療法などの精神療法
- 食事:栄養指導などの食事療法
- 睡眠:睡眠障害の改善といった睡眠療法
- 運動:筋力トレーニングやリハビリといった運動療法
そのため、これらの4つの領域を集中的に改善することができれば、オプティマルヘルスの獲得にぐっと近づくことが出来るでしょう。
「心的機能」「認知機能」「身体機能」の向上
人間には様々な機能が存在します。
そしてそれらの機能は大きく分けて以下の3つに分類できます👇
- 心的機能
- 認知機能
- 身体機能
いわゆる「ココロ・アタマ・カラダ」の3つです。
また、それぞれの機能の具体例としては以下のようのものがあります👇
3つの機能の具体例
- 心的機能:素晴らしい芸術を目の当たりにして感動を覚える
- 認知機能:読書で得た内容を記憶する
- 身体機能:山の頂上を目指して登山する
そしてそれぞれの機能をより細かく分類していくと以下のようなものが挙げられます👇
3つの機能の詳細
- 心的機能:「気分」「ストレス」「自尊心」「自己効力感」など
- 認知機能:「ワーキングメモリー」「注意集中力」「創造性」「読解力」など
- 身体機能:「最大筋力」「筋持久力」「心肺機能」「柔軟性」など
このように、これらの3つの機能は人間の健康状態を測る尺度として用いることができます。
また、先に述べた4つの領域(「メンタル」「食事」「睡眠」「運動」)を改善することが出来れば、これらの3つの機能(「心的機能」「認知機能」「身体機能」)の向上を図ることが出来ることが分かっています。
このことについて、より詳細に知りたい方は以下の記事をご覧ください👇
「全体性」「個別性」の適用
ここまで人間の健康を支える4つの領域、そして人間の健康状態の尺度となる3つの機能について説明してきました。
そして、オプティマルヘルス(最適な健康)を獲得する上でもう一押し、私が非常に重要な概念と考えているものがあり、それが以下の2つです👇
- 全体性
- 個別性
どうゆうことか、説明していきます。
全体性
「全体性」とは読んで字の如く、「物事を全体的に捉える」という意味です。
「一体性」「統合的」「ホリスティック」といった言葉に言い換えることもできます。
この「全体性」の概念は様々なものに当てはまりますが、健康も例外ではありません。
例えば先ほど人間の3つの機能として「ココロ・アタマ・カラダ(心脳体)」があると述べましたが、これらはすべて繋がっています。
また、そもそも「心」「脳」「体」という言葉は人間がわかりやすいように便宜上生まれたものであり、本来であれば人間という生命体は1つのユニットとして捉えなければなりません。
さらに、人間の健康を支える4つの領域(「メンタル」「食事」「睡眠」「運動」)に関しても、これらの領域はどれも欠けてはならず、全体的に改善しないと健康的にはなれません。
というのも、これら4つの領域は個々に独立するものではなく、相互に依存しているからです。
具体例を挙げると以下のようになります👇
- 昨夜よく眠ることができなかった(睡眠の領域)
- 睡眠不足が原因で食欲が増え、爆食いしてしまった(食事の領域)
- 睡眠不足と爆食いの影響で趣味のスポーツで能力を発揮できなかった(運動の領域)
- 今日一日の活動が思うようにいかず、自己嫌悪に陥ってしまった(メンタルの領域)
皆さんも似たような経験があるのではないでしょうか?
こういった例からも、健康を維持するためには全ての領域においてしっかりとマネジメントする必要があることがわかります。
個別性
「個別性」も読んで字の如く、「人の個性を尊重する」という意味です。
「独自性」「個性的」「パーソナライズ」といった言葉に言い換えることもできます。
この「個別性」という概念も「全体性」に引けを取らないくらい非常に大切な概念です。
なぜなら人間は唯一無二の存在であり、「年齢」「性別」「性格」「人種」「遺伝子」「価値観」「健康観」「ライフスタイル」「ライフステージ」など、その人を独自の存在たらしめる様々な因子が複雑に絡み合っているからです。
そしてここでもまた、人間の健康を支える4つの領域(「メンタル」「食事」「睡眠」「運動」)を例に「個別性」の概念を考えてみます。
4つの領域における「個別性」の具体例は以下のようなものが挙げられます👇
- 「性格の違いによる人間関係の在り方」「ストレス感度の違い」など(メンタルの領域)
- 「食べ物の好き嫌い」「同じ食べ物でも血糖値の上がり方の違い」など(食事の領域)
- 「クロノタイプ」「好みの睡眠環境」など(睡眠の領域)
- 「好みのエクササイズスタイル」「身体機能の素質」など(運動の領域)
このように我々人間には様々な違いがあり、健康を考える上でも1人1人が持つ独自の個性を考慮する必要があります。
そのため世の中に広まっている様々な健康法や理論も、それらを全て鵜呑みにするのではなく、「自分の場合はどうなのか」という視点を持ちながら、情報の取捨選択、およびパーソナライズ化しなくてはなりません。
オプティマルヘルスピラミッド
ここまで「オプティマルヘルスを構成する3つのパート」について解説してきましたが、ちょっとごちゃごちゃしてきたので最後にまとめてみます。
これまでの議論は以下のように要約することができます👇
- 「人生における最上の喜びを見出し、味わう」(目的)ためには、「オプティマルヘルスを獲得する必要がある」(手段)
- そのためには「メンタル」「食事」「睡眠」「運動」の4つの領域の改善が必要である
- そうすることにより「心的機能」「認知機能」「身体機能」の3つの機能の向上が期待できる
- より最適な健康に近づくためには、「全体性」「個別性」の2つの概念を適用すると良い
また、図式化すると以下のようにピラミッド型でオプティマルヘルスの考え方を視覚的に捉えることができます👇

このピラミッドを「オプティマルヘルスピラミッド」と名付けることにします(笑)
この記事があなたの日々の健康を支えるうえで、少しでも参考になれば幸いです♪
また、近々このオプティマルヘルスの獲得を支援するプログラム、名付けて「オプティマルヘルスプログラム」を主宰する予定ですので、興味のある方はぜひチェックしていただけると嬉しいです!
それではまた!
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