突然ですが皆さんは普段自分のクロノタイプを意識して生活しているでしょうか?
クロノタイプとは自分にとっての最適な睡眠スケジュールなどを決める体内時計のことです。
この記事では「自分のクロノタイプをしっかり認識して、そのタイプに合った生活習慣を送りましょう」ということを提案していきます。
目次
クロノタイプに沿った生活を送ろう
近年の研究により、遺伝学的に睡眠に関して「朝型」か「夜型」、いわゆる「クロノタイプ」があることが分かっています。
朝型は比較的早い時間帯に眠くなって朝も早い時間帯に自然と目が覚めます。
それに対して夜型の場合は夜10~12時と遅い時間帯になっても眠ることが難しく、目覚める時間も必然的に遅くなる傾向があります。
現代において一番の被害者だと思われるのがこの「夜型」のタイプです。
なぜなら現代社会のスケジュールが朝型に適したものになっているケースが多く、夜型は頑張ってこのスケジュールに合わせることを強いられがちだからです。
そのため夜型の人が朝型のスケジュールで生活を続けていくと、
- 朝型の人から怠け者だと思われる
- 脳の活動が高まっていないため、能力を最大限に発揮できない
- 様々な健康問題を抱えやすい
といった問題が出てきます。
事実、夜型の人は人種問わず欠食や過食、栄養バランスの乱れなどの食生活の問題を抱えやすいことが分かっていますし、さらには以下のような不調や病気になるリスクが高くなると言われています👇
- うつ病
- 不安障害
- 糖尿病
- がん
- 心臓病
- 脳卒中
そのため、クロノタイプに沿った生活をするかしないかで、日々の健康状態やQOL、仕事におけるパフォーマンスが大きく変わってくることが容易に想像できます。

概日リズムとクロノタイプの関係
クロノタイプのように「朝型」か「夜型」に分かれる理由にはサーカディアンリズム(概日リズム:いわゆる体内時計)が関係しています。
実はこの概日リズムは人間以外の動物、植物、菌類、藻類に至るまでほとんどの生物に備わっており、脳内にある24時間単位の時計が生物の生理活動をコントロールしています。
この概日リズムが人間にも存在することが分かったのが1938年、シカゴ大学のクライトマン教授と助手のリチャードソンが行った画期的な研究によってでした。
その研究とは、ケンタッキー州のマンモス・ケーブと呼ばれる日の光が一切届かない洞窟に、折りたたみ式ベットと大量の食料と水を持ち込んで1ヶ月間生活するというものでした。
この結果判明したのが、「人間には太陽の光がなくても一定の周期で覚醒と睡眠を繰り返す、いわゆる体内時計のようなものが存在する」ということです。
そしてその後の研究により、「人間の概日リズムは平均24時間15分と、大体24時間である」ことが分かりました。
そしてこの概日リズムがなぜクロノタイプと関係があるのかと言うと、概日リズムにも個人差があるからです。
概日リズムは大体24時間ということが分かりましたが、人によっては24時間より短い人、あるいは長い人がいます。

例えば、上図↑のように体内リズムが23時間30分(24時間より短い)の人と、24時間30分(24時間より長い)の人がいたとします。
私たちの体内時計は日光や食事によってリセットされますが、もし日の光がなかったと仮定した場合、体内リズムが23時間30分の人が夜の10時に寝たとすると、翌日は夜の9時半に眠くなるはずです。
こうゆう人は自然と夜早めにベットに向かうようになり、結果的に朝の目覚めも早くなります。
対して、体内リズムが24時間30分の人が夜の10時に寝たとすると、翌日は夜の10時半になるまで眠くならないはずです。
したがって、こうゆう人は自然と夜更かしする傾向が強くなってしまいます。
このようにして、体内リズムの個人差が朝型か夜型かを生み出すのです。
朝型と夜型に分かれる理由
ここまで朝型と夜型が生まれるメカニズムについて見てきましたが、そもそもなぜ人類は朝型あるいは夜型と、人によって個人差があるのでしょうか?
もし人類みんなが同じ体内リズムを持っていれば社会全体のスケジュールを一つに合わせられるし効率的なような気もします。
その答えは石器時代まで遡ってみると見えてきます。
当時は現代のように衣食住が安定しておらず、人間と言えども常に外敵に襲われる危険がありました。
人類は群れで生活するため、もし全員が朝型タイプで夜9時に寝て朝5時に起きるとなると、無防備な状態が8時間も続いてしまいます。
しかし、もし朝型タイプと夜型タイプの両方がいたとしたら、夜型タイプが深夜1時に寝て朝9時に起きれば無防備な状態を4時間にまで減らすことができます。
こうすることで単純計算で危険リスクを50%減らすことができるのです。

人間は一般的に朝型→夜型→朝型になる
もちろんこれまで見てきたように、人間にはクロノタイプと称される個人差があります。
ただ、そんな中でも人類全体を通してみるとクロノタイプには加齢に伴い一定の変化のリズムがあることが分かっています。
それは、人間は以下のように「朝型→夜型→朝型」とクロノタイプが変化していくというものです👇
- 小児期(~9歳):朝型
- 思春期(10~20歳):夜型
- 成人期(20歳~):朝型
確かに今思い返してみると、小学生時代は毎朝早く目覚めて元気いっぱいなのに対し、高校生とか大学生のときはついつい夜更かししていたような気がします。
そして24歳になった今はバリバリ朝型です(笑)
皆さんの場合はどうでしょうか?
もしこの記事を読んでいる方で10代のお子さんをお持ちの方がいたら、夜更かししていたとしても多少多めに見てあげてください(論文はこちら)。それは生物学的に仕方のないことですから(笑)
そして女性の場合は20歳頃から、男性の場合は21歳頃から長くなっていた体内リズムが次第に短くなっていき、朝型タイプになりやすくなっていきます(もちろん個人差があるので大人になっても体内リズムの周期が長いままの人もいます)
そのため、大人になった現在も深夜0時以降に寝ている人は、就寝時間をもう少し早めた方が、より健康的かつ本来の力を発揮できるようになるかもしれません。

クロノタイプに沿った生活をするためのアクションプラン
それではクロノタイプの概要が把握できたところで、クロノタイプに沿った生活をして自分の能力を最大限発揮するためのアクションプランをまとめておきます。
そのアクションプランとは以下の4つです👇
- 自分のクロノタイプを知る
- 自分にとって理想的な就寝時間と起床時間を決める
- モーニングルーティンとナイトルーティンを決める
- 習慣に落とし込むまで実践する
順番に見ていきましょう。
①自分のクロノタイプを知る
まずは自分のクロノタイプを知る必要があります。
今ではクロノタイプをインターネット上で無料で診断できるサイトも多くあります。
ここでは代表的なサイトを2つ紹介しますので好きな方を選んで自分のクロノタイプをチェックしてみてください♪
ミュンヘンクロノタイプ質問紙(MCTQ)
質問に答えることによって以下の項目を知ることができます👇(サイトはこちら)
- クロノタイプ
- 自分に合った生活スケジュール
- 睡眠不足度
- 社会的ジェットラグ(平日と休日の睡眠のズレ)
(※目安所要時間 5分~15分)
朝型夜型質問紙
19個の質問に答えるだけで、自分が「超夜型」「夜型」「中間型」「朝型」「超朝型」のどれに属するか判定してくれます。(サイトはこちら)
(※目安所要時間 3~5分)
②自分にとって理想的な就寝時間と起床時間を決める
自分のクロノタイプが分かったら、そのクロノタイプを参考にしながら自分の理想的な就寝時間と起床時間を設定します。
人間は習慣の生き物であるため、睡眠パターンが変化しっぱなしだと体がどうしてよいか分からず環境に適応するために余計なエネルギーを消費してしまいます。
「平日の5日間の睡眠が足りなかったとしても、休日に余分に寝て埋め合わせればいい」と考えている方もいるかもしれませんが、それでは慢性的な睡眠不足状態から抜け出せません。また、何より月曜日の朝起きるのが非常に辛くなってしまうはずです。
就寝時間と起床時間をクロノタイプに合わせて設定し、そしてそれを数日間守ることが出来れば、「夜になれば自然と眠くなり、朝はアラーム無しでも自然と同じ時間帯に目が覚める」という理想的な睡眠習慣を手に入れられるはずです。
③モーニングルーティンとナイトルーティンを決める
理想的な就寝時間と起床時間を決めたら、ついでにモーニングルーティンとナイトルーティンも決めちゃいましょう。
モーニングルーティンといってもそんな大それたものである必要はなく、いつも朝行う行動やその順番を固定化しちゃいましょうって話です。
「朝起きたらまず〇〇をして、その後は□□して…」といった感じで朝に行う行動が決まっていれば脳の余計なリソースを使うこともなくなりますし、精神的な疲労が軽減されます(論文はこちら)
また、夜寝る前の行動(「ベットに入る90分前に入浴する」「読書をする」など)も決めておくことで、体がリラックスした状態になりやすくなって寝つきも良くなるので、ぜひ自分なりのナイトルーティンも決めてしまいましょう。
④習慣に落とし込むまで実践する
「クロノタイプ」「睡眠時間」「ルーティン」が決まればあとは実践するのみです!
今までの生活習慣からの変化が大きければ大きいほど実践するのが難しく感じると思いますが、頑張って継続していけば次第に慣れて習慣になっていくはずです。
そうなればしめたもので、特に日常で意識しなくても自分にとって最適な睡眠習慣を送ることができ、より人生がハッピーになることでしょう。
