こんにちは!
ヘルスコーチの銭君達です。
この記事では、
- グルテンとは何なのか?
- グルテンが私たちの体に与える影響
- グルテンフリーの食事法
などなど、「グルテン」をテーマに書いていきたい思います。
- グルテンってそもそも何なの?
- 小麦製品を食べると不調になる気がするけど、これってもしかしてグルテンのせい?
- 自分はグルテンフリーにする必要あるの?
といった疑問を持った方向けの内容となっております。
それでは早速見ていきましょう!
目次
グルテンとは?
まずそもそも「グルテン」とは何なのか見ていきましょう。
グルテンとは、「主に小麦、ライ麦、大麦などの穀物に含まれる粘弾性を持ったタンパク質」のことを指します。
そしてグルテンはグルテニンとグリアジンというタンパク質が合わさってできるものです。
イメージとしてはこんな感じです👇

グリアジンはネバネバした感じ(粘着性:viscosity)を持つのに対し、グルテニンはプルプルした感じ(弾力性:elasticity)を持ち、これらが合わさってグルテンという粘着性と弾力性を合わせ持った(粘弾性:viscoelasticity)タンパク質となるのです。
そして私たちの体に悪影響を及ぼす力を持つ犯人は実はグルテンというより、その構成要素であるグリアジンです。
通常、卵や鶏肉などからタンパク質を摂取した場合アミノ酸に分解されます。
ところが小麦などの穀物からグリアジンを摂取した場合、人間は牛などの動物と比べ消化機能が発達していないため、ペプチド(アミノ酸とアミノ酸がペプチド結合(-CONH-)して、2個以上つながった構造のもの)までにしか分解されません。
このポリペプチド鎖で構成されるグリアジンが私たちの健康を脅かす真犯人なのです。
グリアジンによる健康被害には以下のようなものがあります👇
- 注意障害、自閉症、突発的なかんしゃく(特に子供に多い)
- 頭がぼーっとする、倦怠感(一般的な成人に多い)
- 過食症、摂食障害
- 偏執病、統合失調症、幻覚、錯覚
- 双極性障害、うつ病、ADHD
- 過剰な食欲(通常の食事にプラスして1日に400kcal以上)
ただ、もちろん個人差があるのでグルテン(グリアジン+グルテニン)を大量に摂取しても大丈夫という人もいれば、ちょっと摂っただけでもアウトな人もいます。
その違いを生み出すのがケモカイン受容体の1つであるCXCR3の存在です。
グルテンの摂取により健康被害を被る人はこのCXCR3という受容体が過剰発現していることが原因と言われています。
以下がグリアジンの摂取により体内で起こる変化のプロセスです👇
- グリアジンとCXCR3受容体が結合する
- その結合の結果ゾヌリンと呼ばれるタンパク質が腸内に放出される
- そのゾヌリンが腸壁を破り、そこからグリアジンやリポ多糖などが血液中に流れ込む
- それらが血液中に流れ込むことにより、免疫細胞が危機を察知し暴走してしまう
- それによって様々な不調や障害を引き起こす
というメカニズムです。(より詳しく知りたい方はこちら)
グルテン摂取が及ぼす影響3パターン
それではここからグルテン摂取が実際に引き起こす具体的な不調や病気を見ていきましょう。
それは大きく分けて以下の3つに分類できます👇
- セリアック病
- グルテン過敏症(不耐症)
- 小麦アレルギー
順番に見ていきましょう。
①セリアック病
1つ目はセリアック病です。
セリアック病とはグルテン(正確には構成要素であるグリアジンが真因)が体内に取り込まれたときに、その物質に対して異常な免疫反応が生じ、自分自身の小腸の粘膜を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患の一種です。
私たちの小腸には以下のように腸絨毛(柔毛とも言います)と呼ばれる突起が無数に存在しています👇

しかし、セリアック病患者の柔毛を見てみると、本来であれば突起状のもののはずが押し潰されてしまっています。
この柔毛は日々の食事からビタミンなどの栄養素を吸収し、日々の活動のエネルギーを生み出す上で大きな役割を果たしています。
柔毛の突起が押し潰され、栄養の吸収が十分に行われなくなってしまうと、
- 貧血
- イライラや癇癪
- 体重の減少
- 胃腸の不調や障害(便秘や下痢、ガス溜まりなど)
- 歯科・骨の疾患
- 口内炎や口びらん
- 皮膚発疹
- 足の痺れ
- 筋肉の痙攣
といった症状が現れます。
セリアック病患者は欧米では人口の1%程と言われており、対して日本人のセリアック病患者は正確な数字は不明ですが、0.05%~0.5%程と欧米と比べると割合は低いと考えられています。
ただ、日本でも食の欧米化が進んでいるため、日本人の体内におけるグルテンの蓄積量が増加し、今後セリアック病患者が増加することも懸念されます。

②グルテン過敏症(不耐症)
2つ目のパターンはグルテン過敏症です。
セリアック病との違いを明確にするため、非セリアックグルテン過敏症とも呼ばれます。
グルテン過敏症の人は以下のような症状を訴えることが多いです👇
- 腹痛
- 貧血
- うつ病
- 下痢
- 湿疹
- 倦怠感
- 頭痛
- 関節痛
こうして見ると、セリアック病の症状と似ている感じがしますが、
グルテン過敏症はセリアック病と違い、グリアジンの摂取に対する抗体を産生しないうえ、セリアック病と同様のダメージを小腸に与えることもないとされています。
そのため、「ではなぜセリアック病と似た症状が生じるのか」という当然の疑問が生まれますが、正直まだよく分かっていないようです。
グルテン過敏症の研究は近年においても非常にホットなトピックであり、今後のさらなる研究により原因の究明が期待されます。
ちなみに欧米では人口の6~15%がグルテン過敏症を持っていると言われており、日本人も少なからずグルテン過敏症の人がいると考えられます。
どこからがグルテン過敏症と言えるかの線引き(バイオマーカー)が確立されていないため、正確な数字を出すには難しいところがありますが…。

③小麦アレルギー
3つ目のパターンは「小麦アレルギー」です。
アレルギーが起こる仕組みは以下のようなプロセスです👇
- 生体にとって無害な異物(アレルゲン)がIgEと呼ばれる抗体と結合する
- これらの抗原抗体複合体によって肥満細胞(マスト細胞)が刺激される
- 肥満細胞(マスト細胞)から炎症の元となる化学物質(ヒスタミン)が放出される
- その結果アレルギー症状が誘発される
一方、セリアック病などの自己免疫疾患はさまざまな免疫細胞が自分の体を攻撃することで発症する疾患であり、ここにセリアック病と小麦アレルギーの違いがあります。
小麦アレルギーの怖さとしては、セリアック病やグルテン過敏症とは違って不快な症状が即座に起こることであり(2時間以内に発症)、最悪の場合死に至るケースもあります。
小麦に対するアレルギー症状が深刻な人は、当然小麦を一切口にしないのが望ましいです。
ただし、必ずしもグルテンフリーにする必要はないかもしれません。
というのも、小麦はダメでもライ麦や大麦といったグルテンを含む食材ならアレルギー反応が起きない可能性もあるからです。
ただし、一見小麦が含まれていないから安心と思える食材でも、その食材を製造加工する機械が小麦を含む食材の製造に使われている、もしくは使われていたことも考えられるため油断は禁物です。
そして、小麦アレルギーの症状には以下のようなものがあります👇
- 下痢
- じんましん
- 吐き気/嘔吐
- 発疹
- くしゃみ
- 喉の腫れ
- アナフィラキシー(症状が深刻なケース)

グルテンを含む食べ物
ここまでグルテンが及ぼす影響について見てきましたが、これまでの情報を踏まえてグルテンの摂取をなるべく減らしたいと思った方も多いと思います。
以下にグルテンを含む可能性のある食べ物をいくつかリストアップしたので、参考にしてみてください♪👇
主食類
- 小麦、大麦、ライ麦を含む食べ物
- 雑穀パン
- シリアル、コーンフレーク
- ピザ
- パスタ、スパゲティ
- ラーメン
- そば、うどん
- 加工食品
- その他の小麦・小麦粉製品(お好み焼き、饅頭、餃子など)
菓子類
- ケーキ類
- パンケーキ、ホットケーキ
- クッキー
- ドーナツ、スコーン
- マフィン
- タルト
- 飴/ガム
- その他の焼き菓子やスナック菓子製品
飲料類
- ビール、発泡酒
- スピリッツ類
調味料
- 小麦粉、ライ麦粉
- パン粉、そば粉
- ブイヨンキューブ
- 玄米シロップ
- 市販ルー(シチュー、カレー)
- ソース類
- ドレッシング
- しょうゆ
- スパイス(固着防止剤としてグルテン使用)
- 穀物酢(小麦を使用)、モルトビネガー
食品添加物
- 着色料
- 乳化剤
- 充填材
- 防腐剤
油
- 植物油(小麦胚芽油、グルテン添加剤)
その他
- サプリメント(結着剤を含むもの)
- 化粧品(小麦を含むもの)
最も注意すべきなのは食べる量・回数が多い主食類と菓子類です。それ以外のものにグルテンが含まれている可能性はありますが、グルテンに対して深刻な症状がないのであればそこまで気にしなくてもいいのかなーと思います。
完全に排除しようとすると何も食べられなくなりそうですしね(笑)
