皆さんは普段コーヒーを飲む習慣があるでしょうか?
「コーヒーを飲む習慣の有無」「頻度」「時間帯」「ミルクやクリーム、砂糖の有無」「挽き方」
などなど、「コーヒーを飲む」と一口に言っても色んな飲み方がありますよね。
そんな私たちにとってとっても身近な飲み物である「コーヒー」について、しばしば体に良い悪い論争が繰り広げられますが、実際はどうなのでしょうか?
目次
コーヒーの凄まじい効果
私たちが住む地球上に無数の食品が存在していますが、万人にとって健康にいいと言える食品には数に限りがあります。
体にいい食べ物と言えば野菜類を思い浮かべますが、コーヒーも野菜類と同様、がん予防や健康効果が数多く報告されている数少ない食品の1つです。
もちろんコーヒーの効果に関して否定的な意見や研究結果もありますが、現時点でわかっている範囲で言えばコーヒーには素晴らしい健康効果が存在するという意見が優勢です。
それではそのコーヒーの持つ凄まじい効果について「ダイエット効果」「健康効果」「がん予防効果」の3つに分けて解説していきます。
コーヒーを飲めば痩せられる
コーヒーの「ダイエット効果」に関して主に以下の効果が期待できます。
- 脂肪燃焼パワー
- 代謝率アップ
- 運動前に飲むことで燃焼効果がさらに高まる
- 血糖値上昇抑制作用
- 食欲を抑える
- 便秘予防作用
順番に見ていきましょう。
脂肪燃焼パワー
コーヒーの脂肪燃焼効果は、コーヒーに含まれるカフェインとクロロゲン酸が関わっています。
カフェインには体脂肪を分解する役割を持つリパーゼという脂肪分解酵素を活性化させる働きがあります。
さらに、分解された脂肪酸はエネルギーの発電所であるミトコンドリアに運ばれ燃焼されるのですが、クロロゲン酸にはこのミトコンドリアへの脂肪酸の取り込みを促す作用があるのです。
代謝率アップ
コーヒー1杯程度のカフェインを摂取することで3~5%、また3杯程度のカフェイン摂取で10%ほど代謝率が向上することが様々な研究で示されています。
基礎代謝量が約1,600kcalの30代男性が3時間おきに1杯のコーヒーを飲んだと仮定すると、30kcal程度代謝エネルギーが上昇すると言われています。
「1日たったの30kcal」と思われるかもしれませんが、これは筋肉1kg増やした際の1日の消費エネルギーと大体同じ値です。
そして、1年間で換算すると体重を1.5kg減らせる計算になります。
運動前に飲むことで燃焼効果がさらに高まる
コーヒーに含まれるカフェインは脂肪を燃焼させる力と代謝率をアップさせる力があると述べましたが、運動と組み合わせることでそれらの効果がさらに高まります。
カフェインは脂肪燃焼以外にもスポーツパフォーマンスや筋肉収縮力の向上といった効果もあるので、今では全然イメージがないですがかつてはドーピング禁止薬物と言われていたこともあったようです。
コーヒーを飲んだ後、30分~1時間ほどで体脂肪の分解が進むので、「コーヒーを飲んだ後の1時間は脂肪燃焼のゴールデンタイム」と覚えておきましょう。
血糖値上昇抑制作用
まずはじめに血糖値が上がるプロセスを見ておきましょう。
- 体に取り込んだ糖質は体内の消化酵素によって吸収できる大きさまで分解され、 分解された糖質は消化管に吸収され血液に移行する
- 血液に糖が移行されると、膵臓からインスリンが放出され、そのインスリンが血液中の糖を体内のエネルギー源として適材適所に分配し、余った分は脂肪細胞として蓄積される
- 血液中の糖が急激に増えると高血糖となり、血管の損傷を抑えるためにインスリンが大量放出され、それと同時に脂肪細胞となる糖が増えるため、肥満を予防するためには血糖値の急激な上昇を抑える必要がある

そしてクロロゲン酸にはこの3つのプロセス全てに対して以下の作用をもちます。
- 糖の分解酵素の働きを阻害し、体に吸収されるまでの時間を遅らせる働き
- 分解され吸収される準備が整った糖を消化管から血液に移行するのを抑制する働き
- 血糖値の上昇を抑制するホルモンであるGLP-1の生成を促す働き
このようにクロロゲン酸はなんと血糖値が上昇する3段階プロセスの全てにおいて食後の血糖値の急上昇を抑制する働きを持っています。
食欲を抑える
食欲には自律神経が関わっており、交感神経が活発になると食欲が抑制されます。
コーヒーに含まれるカフェインには交感神経の活動を活性化させ、食欲を抑制するホルモンであるコレシストキニンの放出を助けます。
このため、空腹感を抑えたかったり、食べすぎたくない場合はコーヒー1杯がとてもいい働きをしてくれます。
便秘予防作用
コーヒーと便秘に関しては女性を対象としたいくつかの研究で、コーヒーの摂取が多い人の方が便秘をしていないと報告されています。
なぜコーヒーに便秘予防があるかというと、コーヒーに含まれるカフェインには腸や副交感神経を刺激する働きがあり、これが腸の活動を促進させる要因と考えられます。
※ただし1日6杯以上飲んだ場合、逆に便秘になる人が多くなったという研究もあるので飲み過ぎにも注意した方がよさそうです。
コーヒーを飲めば健康になる
死亡リスクが下がる
コーヒーにはなんとなく体に悪い、というイメージもありますが、どうやらコーヒーを毎日飲むと「死亡リスクが下がる」「寿命が伸びる」という効果があるようです。
2012年にアメリカ国立衛生研究所(NIH) が発表したコーヒーの消費と死亡リスクに関する研究を紹介します。
「コーヒーはアメリカでは最もよく飲まれている飲料のひとつであるが、コーヒー摂取と死亡リスクとの関連性はこれまで明らかではなかった。我々は、コーヒー摂取が全死亡リスク低下と多種多様な死因別死亡リスク低下とに関連していることを明らかにした」と、Freedman氏は述べた。
「コーヒーには健康に影響を及ぼす可能性がある成分が1,000以上あるため、(実際にこの結果が因果関係を反映していた場合)コーヒーが死亡リスクを減らすメカニズムは明らかではない」と、Freedman氏は述べた。「これまで最も多く研究されている成分はカフェインであるが、摂取したコーヒーの大半がカフェイン有と報告した参加者でもカフェイン無と報告した参加者でも、結果はほぼ同じであった。」
このように、ほとんどの死因においてコーヒーを飲む習慣のある人は、死亡率が低くなっていることが確認されています。
糖尿病予防につながる
コーヒーと糖尿病に関する研究も多数報告されています。
国立がんセンターで行われた多目的コホート研究では1日3~4杯のコーヒーを飲むことで糖尿病になる確率が4割減らせることがわかっています。
コーヒーを飲むことで糖尿病を予防できる理由は、先に述べたカフェインとクロロゲン酸の働き以外にも、
- ニコチン酸 (糖質代謝促進効果、中性脂肪を低下させる効果)
- アディポネクチン (インスリンの感受性を高める)
- コーヒーの香り (ストレスを軽減する効果)
などの要因が関係しているとも言われています。
認知症予防になる
認知症には大きく分けて「アルツハイマー病」「脳血管性認知症」「レビー小型認知症」の3つがあります。
そして日本人が1番多く発症する認知症がアルツハイマー病で全認知症患者の約6割を占めます。
2009年にフィンランドのクオピオ大学で行われた研究によると、全認知症およびアルツハイマー病リスクともに、毎日コーヒーを3~5杯飲んだグループが明らかに低いことを発見しました。
コーヒー摂取と認知症発症リスク:男女(0~2杯を1とした場合のオッズ比)
全認知症 | |
0~2杯 | 1 |
3~5杯 | 0.3 |
5杯以上 | 0.83 |
アルツハイマー病 | |
0~2杯 | 1 |
3~5杯 | 0.42 |
5杯以上 | 1 |
認知症予防に関していうと、コーヒーは「全く飲まない」「飲み過ぎ」のどちらともダメで、3~5杯くらいがちょうどいいようです。
コーヒーを飲めばがん予防になる
高齢化社会に伴って、がんの罹患率は男女共に1985年以降増え続けています。
そんな日本人の多くを悩ます「がん」ですが、コーヒーが「がん」の予防の助けになるかもしれません。
がんの種類は多岐に及ぶため詳しい研究結果は割愛しますが、「国立がん研究センター」「アメリカがん協会」「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」などによる様々な大規模調査によって多くのがんの予防につながることが報告されています。
以下はそれらの研究結果の一部です↓
- コーヒー消費が肝臓がん発症リスクを下げる
- コーヒーを飲む習慣がある肝炎感染者の肝臓がん発症率や病気進行度が低い
- ミルクなしのコーヒーを1日3杯飲むことで前立腺がんを患うリスクを4割減らせる可能性がある
- 運動とコーヒーにより子宮体がんのリスクを下げられる
- いくつかの研究でコーヒーを飲むことが大腸がんのリスクを下げることを認めた
- 口腔・咽頭がん、食道がんのリスクは1日1杯以上のコーヒー摂取で減らせる可能性がある
- コーヒーは男性の胃がんリスクを減少させる傾向が確認された
このようにコーヒーには「ダイエット効果」「健康効果」「がん予防効果」と、実に様々な恩恵をもたらしてくれるのです。
コーヒーを飲む際の注意点
ここまでたくさんの私たちの健康に対するコーヒーの効果について見てきましたが、飲み方も非常に重要です。
飲み方を間違えてしまうとコーヒーの健康効果が十分に得られないどころか、ひどい場合は身体に悪影響を及ぼす可能性もあります。
それでは、「コーヒーを飲む際の注意点」を見ていきましょう。
おすすめは1日3,4杯
今まで見てきた研究を見ると、コーヒーの健康効果を最大化させるには3,4杯のコーヒーが最適のようです。
5~10杯以上飲んでしまうと、「自殺リスク」や「認知症発症リスク」が高まるという研究があるので飲み過ぎはやめておいた方がよさそうです。
また、3,4杯も飲めないという方は当然無理して飲む必要はありません。
1日に1,2杯だけでもある程度の「脂肪燃焼効果」や「健康効果」を得ることができます。
午後以降はなるべく飲まない
コーヒーに含まれるカフェインの半減期は4~6時間と言われています。
よって、夜の遅い時間になればなるほどコーヒーを飲んだ時の睡眠に対する影響が強まります。
そのため、なるべく「朝起きて脳を覚醒させたいとき」「運転中の眠気防止」「日中の運動前の1杯」といったタイミングでコーヒーを飲むのがオススメです。
砂糖を入れない
当たり前の話ですが砂糖を入れすぎると、健康にとってマイナスなのでなるべく控えましょう。

豆、茶葉から淹れる
市販の缶コーヒーやペットボトルはカフェインやクロロゲン酸の効果を得られなくはないですが、健康にいい各種成分の含有量は大幅に少なくなります。
また、消費者の心を掴むために多くの砂糖が使われている場合もあるので注意が必要です。
慣れないうちは面倒に感じるかもしれませんが、淹れたてのコーヒーの味とその健康効果が待っていると考えれば楽しい時間に感じられるはずです。

カフェインが苦手な人は無理をしない
遺伝的にカフェインが苦手な体質の人もいると思うので、そうゆう方がコーヒーを大量に飲んでしまうと、心筋梗塞になる危険性もあるので注意が必要です。
今まで色々コーヒーの素晴らしさを語ってきましたが、なにもコーヒーを飲まないと健康を維持できないという訳ではありません。
人間の体は「個性」「遺伝子」「性格」「体質」などなど、ホントに十人十色なので自分にとってのベストコンディションは自分の身体と相談しながら見極めていきましょう。
参考文献
おわりに
いかがだったでしょうか?
この記事ではコーヒーの様々な健康に対する良い効果を紹介しました。
もし元々コーヒーを飲む習慣がなかった人は、無理のない範囲(オススメは1日3,4杯)でコーヒーを飲んでみてください。
もしかしたら何かが変わるかもしれません笑
それでは良いコーヒーライフを♪