こんにちは!
オプティマルヘルスコーチの銭君達です!
皆さんは最近日々の生活においてストレスを感じているでしょうか?
また、ストレスに対してどんな印象を持っているでしょうか?
今回は私たちの体にストレスがのしかかったときに、「体がどのように反応していくか」を詳しく見ていき、そのうえでどのようにストレスと関わっていくかを考えていきます。
それではやっていきましょう!
目次
現代におけるストレス
現代において、ストレスは私たちの健康を脅かす主要因の1つです。
しかし、現代の人々はストレスと病気の関係性を認識しながらも、ストレスが自身の身体的および精神的健康に与える影響を軽視しがちです。
特に日本や韓国などのアジア系の地域では「過労死(karoshi)」という言葉が生まれるなど、物事を精神論で捉える傾向が強く、ストレスによる影響が他国に比べ大きいように感じます。
ストレスの2つの分類の仕方
ストレスと聞くと何か悪者のようなイメージを持ちがちですが、必ずしもそうとは限りません。
なぜならストレスは私たちの体に備わった自らの生命を保護するための生存機能であり、なくてはならないものです。
ストレスを引き起こすきっかけとなったものが生じたときに、交感神経が優位となり、闘争・逃走反応が働いて、直面している危機に対してアクションを取るか、あるいは回避行動を取るかの選択をします。
そして、ストレスの中でも種類が違うものがあります。そしてここではストレスの分類の仕方を2つ紹介します👇
①ポジティブ or ネガティブ
1つ目の分類の仕方は「ポジティブ or ネガティブ」です。
ストレスと聞くとどうしてもネガティブなもの(離婚や失業、病気など)を連想してしまいますが、ポジティブなもの(恋愛や旅行、マイホーム購入など)もストレスとみなすことができます。
「ではどのようなことが私たちにとってストレスになるか」という問いが生まれますが、この疑問に応えようとした研究者がいます。
ワシントン大学のホームズとレイは人のストレスレベルを測る尺度として「社会再適応評価尺度」と呼ばれるものを作成しました👇
○ホームズとレイの社会再適応評価尺度
生活上の出来事 | ストレスレベル | |
1 | 配偶者の死 | 100 |
2 | 離婚 | 73 |
3 | 夫婦の別居 | 65 |
4 | 刑務所などへの勾留 | 63 |
5 | 近親者の死 | 63 |
6 | 自分の怪我や病気 | 53 |
7 | 結婚 | 50 |
8 | 解雇 | 47 |
9 | 夫婦の和解 | 45 |
10 | 退職や引退 | 45 |
11 | 家族が健康を害する | 44 |
12 | 妊娠 | 40 |
13 | 性生活がうまくいかない | 39 |
14 | 新しく家族のメンバーが増える | 39 |
15 | 仕事面の再調整 | 39 |
16 | 経済状態の変化 | 38 |
17 | 親友の死 | 37 |
18 | 職種替えまたは転職 | 36 |
19 | 夫婦の口論の回数が変わる | 35 |
20 | 1万ドル以上の抵当(借金) | 31 |
21 | 抵当流れまたは借金 | 30 |
22 | 仕事上の責任の変化 | 29 |
23 | 子供が家を去ってゆく | 29 |
24 | 身内間のトラブル | 29 |
25 | 優れた業績を上げる | 28 |
26 | 妻の就職、復職、退職 | 26 |
27 | 就学または卒業 | 26 |
28 | 生活状況の変化 | 25 |
29 | 生活習慣を変える(禁煙など) | 24 |
30 | 上司とのトラブル | 23 |
31 | 勤務時間や勤務条件の変化 | 20 |
32 | 転居 | 20 |
33 | 学校生活の変化 | 20 |
34 | レクリエーションの変化 | 19 |
35 | 教会(宗教)活動の変化 | 19 |
36 | 社会活動の変化 | 18 |
37 | 1万ドル以下の抵当(借金) | 17 |
38 | 睡眠習慣の変化 | 16 |
39 | 家族団欒の回数の変化 | 15 |
40 | 食習慣の変化 | 15 |
41 | 休暇 | 13 |
42 | クリスマス | 12 |
43 | ちょっとした法律違反 | 11 |
※赤:ポジティブ 青:ネガティブ グレー:どちらともいえない
この尺度は上記☝️のような出来事が起こった時に、もう一度元の状態に戻るためにどれくらいの労力や時間がかかったかを被験者に評価してもらい、それを数値化したものです。
分かりやすいようにポジティブとネガティブなもので色分けしましたが、この分類が必ずしも正しいとは限りません(例:クリスマスパーティ中に嫌いな人に出くわす、休暇中の旅行で体調不良になるなど)
またこれは元々アメリカで作られたものであり、さらに時代の変化とともにストレスレベルや種類も変化していくので、現代の日本人の生活にそのまま当てはめて考えることは難しいですが、人生における主要なストレスとその大まかな大きさを知る上で一つの有効な指標と言えるでしょう。
②急性 or 慢性
もう一つの分類の仕方は「急性 or 慢性」です。
急性ストレスとは短期間のストレス(試験やプレゼンの準備、遅刻、渋滞に巻き込まれるなど)のことを指します。
対して慢性ストレスは長期間(数ヶ月単位)にわたって継続的に降りかかるストレス(仕事上のストレスや人間関係のもつれなど)のことを言います。
急性ストレスを経験すると食欲が増進するといった問題も出てきますが、何より慢性ストレスによる影響の方が大きいです。
慢性ストレスを受けると肥満や慢性病といった生活習慣病に繋がりやすくなります。
問題を解消すればすぐに消えるような短期間のストレスであれば、むしろ適度なストレスとなり健康上の問題を引き起こすことはほとんどないですが、長期間のストレスにさらされ続けると徐々に耐えきれなくなっていずれ燃え尽きてしまいます。

ストレス反応の3段階
それではここからはストレス(特に慢性ストレス)を受けた時の身体反応について見ていきます。
ストレス科学の分野においてはストレス反応は以下の3つの段階に分けられるとしています👇
- 警告期
- 適応/抵抗期
- 疲弊期
順番に見ていきましょう。
1. 警告期
1つ目の段階は「警告期」です。
この段階ではまず初めに危機を察知し、体が臨戦態勢に入り、ストレスから身を守るために交感神経が活発化します。
それと同時に脳が副腎に対してコルチゾールやエピネフリン(アドレナリン)などのホルモンであるグルココルチコイドを分泌するよう指令を出します。
このように緊急事態に陥っても対応できるように、生体において燃料(エネルギー)を備える反応が起こります。
また、ストレスレベルに比例して、体内における以下のような生理学的変化のレベルも高まっていきます👇
- 脈拍
- 血圧
- 血糖値
- 血中脂肪
- 呼吸
- 発汗
- 瞳孔拡張

2. 適応/抵抗期
2つ目の段階は「適応/抵抗期」です。
警告期のストレス反応を受けた後は、生物は内部環境を一定かつ安定的な状態に保とうとする力(ホメオスタシス:恒常性)が働き、元の状態に戻ろうとします。
しかし、「ストレス反応が強すぎる」あるいは「頻繁に引き起こされる」場合、ホメオスタシスが十分に働かず、常に高いストレスおよび警戒レベルを保ったままになってしまいます。
こうした絶え間ないストレスに晒され続けると、体は継続的なストレッサー(ストレスを生物に与える刺激)と共存するためにそれに適応、または抵抗しようとします。
そうしてストレスホルモンが長期間放出されることとなり、その結果免疫機能が弱まったり病気にかかりやすくなるなど、体に様々な悪影響を及ぼしていきます。(下図参照👇)

3. 疲弊期
3つ目の段階は「疲弊期」です。
この段階になると、これまでの外部からの継続的かつ高圧的なストレスに抵抗するためのエネルギーが枯渇していきます。
人間の体は永久的にストレスに対抗できるように設計されてはおらず、この疲弊期を迎えると文字通り体がシャットダウン(燃え尽き)してしまいます。

かく言う私も新卒で入った会社を休職する直前は、思い返してみれば確実にこの疲弊期の段階に陥っていたと思います。
食事が喉を通らず晩ご飯の時間になってもうつ伏せになって枕に顔を埋めていました(笑)

自律神経とストレス
ストレスの問題を語る上で、「自律神経」を欠かすことは出来ません。
私たちの体内にある神経は大き分けて「中枢神経(脳と脊髄からなる全身に指令を送る中心的役割)」と「末梢神経(中枢神経と体の各種器官を結ぶ情報伝達係)」から成り、
末梢神経の中でも「運動神経」と「自律神経」、さらに自律神経の中でも「交感神経」と「副交感神経」に分かれています。
自律神経はその名の通り自律して働く機能のため、心臓の拍動や胃腸の消化、傷の修復などを担っており、自分の意志でコントロールすることは出来ません。
神経について
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そしてこの自律神経はまさにストレスと密接に関わっており、現代人の多くが主に仕事や人間関係のストレスに絶え間なくさらされているため、交感神経優位な状態に陥っていると考えられます。
- 交感神経:闘争・逃走反応を司る、興奮系
- 副交感神経:消化機能を司る、休息系
そのため、この交感神経と副交感神経をうまく切り替えられる、あるいはバランスを取ることができるかどうかが、健康的かつ幸福に生きるためのカギであることが分かります。

ストレスを溜めないこまないために
ここまで見てきたように、ストレスは思った以上に私たちの健康にとって脅威となる存在です。
そのため日々の生活において可能な限りストレスを溜め込まない、言い換えれば「交感神経だけでなく副交感神経の働きも高めてバランスとる」ことが大切になってきます。
そしてその副交感神経の働きを高めるためには、以下のような生活習慣を心がけることをオススメします👇
- 栄養バランスの摂れた食事を摂る
- 十分な睡眠の量と質を確保する
- 自分の好きな運動やスポーツを通して定期的に体を動かす
- 瞑想やヨガなどで心身を落ち着かせる
また、日常の活動においては、
- 仕事を沢山溜め込まない(仕事量が多いと感じたら誰かに任せるなど)
- ストレスフルに感じる人とは距離を置く(嫌味な人、価値観が合わない人とは付き合わないなど)
- セルフケアや自分が好きな活動をするための時間を確保する(音楽を聴く、ゲームをするなど)
といった意識を持つことで余計なストレスを抱え辛くなるはずです。

参考文献