皆さんは「何歳まで生きたいか」考えたことはあるでしょうか。
「自分が何歳まで生きられるか」なんて普通分からないのであまり深く考えたことがない、という方も多いと思います。
ただ、「自分が何歳まで生きられるか」を1分1秒単位で正確に知る方法は今のところ存在しませんが、その人の「遺伝情報」や「ライフスタイル」「生活環境」によってけっこう正確に寿命を予測できることがわかっています。
今のところ不老不死の技術は確立されていないので、
- 自分の大体の寿命を知っておきたい
- 寿命を出来るだけ伸ばす方法を知りたい
- なるべく健康的な生活を送りたい
という方にとって参考になる記事を書いていきたいと思います。
目次
ブルーゾーンとは?
皆さんは「ブルーゾーン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「ブルーゾーン」とは冒険家でありベストセラー作家でもあるダン・ベットナーが提唱する世界の5大長寿地域のことを指します。
気になるその5地域は以下の5つです👇
- サルディーニャ(イタリア)
- 沖縄(日本)
- ロマリンダ(アメリカ合衆国・カリフォルニア州)
- ニコヤ半島(コスタリカ)
- イカリア島(ギリシャ)
ダン・ベッドナーはナショナルジオグラフィック(National Geographic)とアメリカ国立老化研究所(National Institute on Aging:NIA)とタッグを組んで、2003年頃から数年の歳月をかけて上記5つの長寿地域にて調査を行いました。

あなたの寿命を予測する3つの方法
世界の5大長寿地域を見ていく前に自分の寿命を予測する方法を3つ紹介します。
是非自分が好きなものを選んでやってみてください♪
また、あくまで予測なので結果が芳しくなくても参考程度に留めてあんまり落ち込まないでくださいね(笑)
さらに、デンマーク人の双子を対象にして行われた研究によると「遺伝」は寿命を決める要素のうちの約20%程度を占めるのみであり、(論文はこちら)
「ライフスタイル」や「生活環境」の影響の方がよっぽど大きいことが分かっているため、これからのあなたの生き方次第で寿命は大きく変わりうると言えるでしょう。
① 8つの寿命診断項目
1つ目の方法はアメリカ国立老化研究所が作成した以下の8つの質問に答えるのみです👇
8つの質問のうち当てはまるものの数を数えてください。
- 週最低5日以上7時間半の睡眠を確保している
- 毎日最低4サービング以上の野菜と果物を食べている
※目安:1サービング ≒ 70g、1小鉢、ご飯小盛り1杯 - 過去三年間タバコを一切吸っていない
- 過去に見知らぬ人と避妊具無しの性交渉をしたことがない
- 週1回以上信仰に基づくコミュニティに参加している
- 以下を満たす友人がそれぞれ最低1人ずついる
・その友人が好き
・真面目な話や相談が出来る
・自分にネガティヴな出来事が起きた時に気にかけてくれる - 自分の人生の目的や意味を明確に持っている
- 1日30分以上の運動(軽いウォーキングを含む)を習慣的に行っている
結果は以下のようになります👇
- 0~2つ当てはまる場合
→76歳頃が寿命。また、最後の5年間は何かしらの病的な状態に苦しめられる可能性あり。 - 3~6つ当てはまる場合
→84歳頃が寿命。また、最後の3年間は何かしらの病的な状態に苦しめられる可能性あり。 - 7つ以上当てはまる場合
→90歳頃まで生きると予想される。
② 自分のことは自分が一番よく知っている
2つ目の方法は以下のたった1つの質問に答えるのみです👇
「あなたは自分が何歳まで生きると思いますか?」
「へっ?」と思われるかもしれませんが、自分の寿命は客観的な視点で見れるお医者さんよりも自分で判断する方が正確だと言われています。
③ 30の質問で分かる寿命診断テスト
3つ目の寿命を知る方法はダン・ベットナーとアメリカのミネソタ大学が共同で開発した寿命診断テストです👇
「バイタリティーコンパス長寿診断テスト」:True Vitality Test by Blue Zones
診断は完全無料であり、30の質問に答えるだけで以下の4つを知ることができます👇
- 健康寿命(誰にも力を借りずに自立して生活ができる年齢)
- 寿命(現在のライフスタイルや生活環境を続けた場合に予想される寿命)
- 潜在的寿命(現在のライフスタイルや生活環境を変えた場合に到達しうる寿命)
- 潜在的寿命に達するために生活習慣アドバイス
質問は全て英語ですが、どれも簡単な英文なので5分もあれば終わると思うので、興味がある方は是非受けてみてください♪

世界の5大長寿地域
それではいよいよ世界の5大長寿地域に住む人々がどのような生活を送っているのか見ていきましょう。
※ただ、これから紹介するのは2000年代初頭のことですので、細かいデータ等、当時と現在とで異なっている可能性があります。
1. サルディーニャ(イタリア)
サルディーニャの特徴
- 14の村で構成され、4万人ほどが暮らしている
- 男性の100歳越えの割合が世界一
- ほとんどの男性が羊飼い
サルディーニャの食生活
- 全粒小麦を使ったパン
- ペコリーノと呼ばれる牧草牛から作ったチーズを常食(オメガ3脂肪酸が豊富)
- ポリフェノールの含有量が最も高い赤ワインを嗜む
- 植物系の食べ物が中心
- 肉も食べるが(大体豚)毎週日曜のディナーに食べる程度
- ほとんどの食べ物が自給自足
サルディーニャの文化
- マラソンなどの激しい運動は行わず、身体活動レベルは低強度のものを習慣的に実践
- 昼寝をし、ワインを嗜み、夕方ごろには友人と共に過ごす
- 若さを尊ぶ文化ではなく、年齢を重ねることを祝福する文化
- 引退という概念がなく、何歳になっても働いている
- 家族、友人、子供と年齢関係なく共に過ごし、愛を与え合っている
2. 沖縄(日本)
沖縄の特徴
- 無障害健康寿命(DFLE:Disability Free Life Expectancy)が世界一長い
- 亡くなるときの痛みが少ないケースが多い(眠りながら亡くなるなど)
- 100歳を超える人の割合が高く、乳がんや結腸がん、心血管疾患にかかる確率が低い
- 16世紀頃から多種多様な民族が交流している
沖縄の食生活
- 植物系の食べ物が中心(トマトやゴーヤなどの野菜が多い)
- 腹八分の実践
沖縄の文化
- 親族や友人と協力し合って過ごす模合の実践
- 健康効果があると言われるよもぎ酒を嗜む
- 引退の概念がなく、代わりに「生きがい」を見つけ実践する文化がある
現在の沖縄
2021年現在も100歳を超える長寿者が数多くいることは事実ですが、残念なことに2000年代初頭を境に沖縄県の長寿ランキングは下降し始め、
2017年の日本の平均寿命ランキングでは、男性36位、女性7位にまで落ち込んでしまっています。
その主な要因として、欧米型の食習慣の急速的な普及、自動車を多用することに伴う運動不足により、肥満や糖尿病の割合が増加したことが挙げられます。
3. ロマリンダ(アメリカ合衆国・カリフォルニア州)
ロマリンダの特徴
- セブンスデー・アドベンチスト教会( Seventh–day Adventist Church、SDA)の密集割合が高い
※アドベンチスト:キリスト再臨論者 - 他のカリフォルニア州に住む人と比べて平均寿命が約10年長い
- 他のブルーゾーンと違い、地理的に隔離されているというよりかは文化的に隔離されている
ロマリンダの食生活
- 種子植物やマメ科植物など、植物系の食事中心
ロマリンダの文化
- 様々な人種が集まるアドベンチスト集会において社会的な交流を頻繁に図っている
- 毎週土曜日の安息日には神に祈り、人々と交流し、自然を味わう習慣を生涯に渡り実践している
- 友人関係の9割がアドベンチスト

4. ニコヤ半島(コスタリカ)
ニコヤ半島の特徴
- アメリカ合衆国と地理的にそれほど遠くはないが、長寿率に関しては大きく引き離している
- 100歳以上の人の割合が多く、そのほとんどが隣人や家族と過ごす時間を大切にしている
ニコヤ半島の食生活
- 全粒穀物中心の食事
- 硬水を常飲している
- ディナーは軽めに済ませる
ニコヤ半島の文化
- plan de vida(人生・魂の目的)を掲げて生きている
- 家族を大切にして生きている
- 社会的な交流を欠かさない
- 高齢者も積極的に仕事を行う
- 太陽の光を存分に浴びる
5. イカリア島(ギリシャ)
イカリア島の特徴
- 人口1万人に満たない孤島
- 西洋文明の発達が遅れ、1970年まで電球すらなかった
- 70歳以上の高齢者において、1人も認知症の発病が見られなかった
イカリア島の食生活
- ほぼ自給自足の生活
- 地中海式の食事の実践
- 高血圧に効果的とされるハーブ(オレガノ、ローズマリー、ダンデライオン)を積極的に使用
- 牛乳よりもヤギの乳を好んで使用
イカリア島の文化
- ガーデニングなどを通して穏やかな運動を習慣的に維持
- 昼寝の習慣化
- 30%程度のカロリー制限やプチ断食を例年実践
- 家族や友人と過ごす時間を優先

長寿のための9つの法則
ダン・ベットナーはこの5つの長寿地域に住む人々の生活における法則を9つ見出しました。
それは以下の通りです👇
- 日常生活を通じた自然な身体活動を行う
- 祈り、瞑想、先祖崇拝といった神聖的な儀式を実践する
- 人生に目的や意味を見出す
- ワインを適度に楽しむ
- 植物ベースの食事を中心に取る
- 腹八分を守る
- 家族との交流を大切にする
- 同じ信仰・目的意識を持ったコミュニティに属す
- ポジティブな交流関係を築く
こうしてみると、確かにこれら全てを生活に取り入れられたら間違いなく今よりも健康かつ幸せな生活に近づく気がしますよね。
センテナリアン(100歳以上の人物)の共通点
また、ダン・ベットナーはこの「長寿のための9つの法則」に加えてブルーゾーンに住む人々、特にセンテナリアンの大きな共通点を見出しました。
それは、
「誰も100歳まで生きようとしていない」
ということです。
つまり、ブルーゾーンの人々は100歳まで生きるために「食事管理をしっかり行おう」「エクササイズを定期的に行おう」といった義務的な意識ではなく、
「健康的な生活を習慣的に行っていたら、結果的に100歳になってしまった」のです。
そうです。彼らにとって100歳という長寿は、「獲得したものではく、起こったこと」なのです。

参考文献
おわりに
いかがだったでしょうか。
日本だけでなく世界の生活習慣や文化にも触れたので、なかなか興味深い内容も多かったと思います。
また、「この記事で書いたことを全て実践しろ」と言っているわけでは当然ありません。
人間は1人1人がユニークな存在であり、個人差・個体差があります。
そして、人によって価値観であったり人生に対する考え方も千差万別です。
- 自分は何歳まで生きたいのか?
- 自分にとって健康とは何を意味するのか?
- 1度きりの人生を自分はどのように過ごしたいのか?
といったことを考えながらこの記事で書いたことを人生に取り入れたり取り入れなかったり、試したりしていただければと思います!
それではまた~!