誰もが学生時代に家庭科の授業で栄養素について習ったことがあると思います。
自分も習ったときのことを微かに覚えていますが、当時は「ふーん」という感じで大して興味がなかった気がします笑
ただ、私たちの健康を維持するためには必須の知識なので、この機会に各栄養素の特徴を押さえておきましょう。
食品成分の7大栄養素とは

学校の授業では三大栄養素、もしくは五大栄養素と習ったと思いますが、この記事では「食物繊維」と「ファイトケミカル」を加えて七大栄養素としています。
以下がそれぞれの栄養素の主な働きです。
- 糖質 体内に取り込まれた糖質のほとんどがブドウ糖に変化する。脳のエネルギーとして重要。
- 脂質 体の組織を作るエネルギー源。エネルギー貯蔵物質として働くほか、脂溶性ビタミンの吸収をよくする働きもある。
- タンパク質 体の組織を作るエネルギー源。整理機能を調整する働き、成長期の栄養として重要。体内では常にタンパク質の分解、合成、排泄が行われている。
- ビタミン 整理機能を調整する。水溶性と脂溶性とに分かれる。酵素の働きを補い、代謝を促進する。
- ミネラル 骨や歯を構成し、整理機能を調整する働きもある。体液の浸透圧の調整、筋肉の働きを正常に保つ機能をもつ。
- 食物繊維 水溶性と不溶性とに分かれる。腸内細菌叢の改善に役立つ。
- ファイトケミカル 植物の色や香り、苦味などを構成する成分で、数千以上の種類がある。抗酸化作用を発揮する。
それではそれぞれの栄養素について、より詳しく見ていきましょう。
糖質
糖質は脳の唯一のエネルギー
糖質は三大栄養素の一つで、「炭水化物」とも言われます。
体内に取り込まれるとブドウ糖に変わり、エネルギー源として大きな役割を果たします。
糖質の最小単位は単糖で単糖にはブドウ糖と果糖があります。
単糖類が二つ合わさると二糖類、数多く組み合わさると多糖類になります。
糖質が特に重要な理由は脳や神経系、赤血球が活動するための唯一のエネルギー源だからです。
糖質が不足して血糖値が下がると、これらの機能が低下してしまいます。
脳はブドウ糖を蓄えることはできないので、日々最低でも100g以上の糖質を摂ることが大切です。
とりすぎると生活習慣病の原因になる
ただし、過剰摂取は生活習慣病の原因になります。
余ったブドウ糖は肝臓や筋肉に運ばれてグリコーゲンとなり、必要に応じて消費されますが、さらに余った糖質は脂肪組織に運ばれて、体脂肪として蓄積されていきます。
そのため、肥満の原因になりますし、糖尿病や脂肪肝、動脈硬化を引き起こすこともあります。
特に砂糖や果物に多く含まれる果糖は体内で脂肪に変わりやすいので注意が必要です
そのため糖質は穀類やイモ類に多く含まれるデンプンからとった方が糖尿病の予防には有効です。

脂質
体の構成成分であり、エネルギー源として重要
油には食用油やバターといった「見える油」と、穀類、野菜類、豆類、魚介類、肉類、乳類、卵、お菓子などに含まれる「見えない油」の2種類があり、栄養学ではこれらをまとめて脂質と呼びます。
脂肪酸は脂質の主な構成成分であり、数はおよを40種類くらいあり、それぞれの脂肪酸がどのような割合で組み合わさるかにより、その油の働きや栄養価が異なってきます。
脂質と聞くと体によくないイメージを抱きますが、細胞膜やホルモン、血液などの構成成分として体には必要不可欠な栄養素です。
また、1gあたり9kcalと体を動かすエネルギー源としても効率的です。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類がある
脂肪酸は炭素、水素、酸素によって構成されており、構造の違いによって二重結合を含まない飽和脂肪酸と、二重結合を含む不飽和脂肪酸とにわけられます。
さらに不飽和脂肪酸は、二重結合の数によって、一個の二重結合の場合は一価不飽和脂肪酸、2個以上の二重結合の場合は多価不飽和脂肪酸と呼ばれます。
また、二重結合の位置によってn-9系、n-6系、n-3系の3系列に分類されます
n-9系の代表はオレイン酸、n-6系の代表はリノール酸、n-3系の代表はα-リノレン酸であり、リノール酸とリノレン酸は体内で合成できない脂肪酸であるため、必須脂肪酸と言われます。
豊富な種類の健康オイル
オリーブオイルやごま油などの油は体脂肪になりにくいことで知られています。
これらの油の主成分はジアシルグリセノールという天然油脂成分であり、小腸で吸収されても血液に入りにくく、体内で燃えやすいという性質を持っています。そのため、体脂肪として蓄積されにくいです。
また、中鎖脂肪酸を活用した食用油の開発も進められています。
中鎖脂肪酸はココナッツなどに多く含まれている成分で、体内で燃えやすいという性質があるが、発煙する温度が低いため、以前は食用油としての利用は難しいとされていました。
このオイルも直接肝臓に運ばれると同時に、素早く分解されるので体脂肪になりにくく、コレステロール値も上がりにくいです。
肥満やコレステロールが気になる人はこれらのオイルを活用するのがオススメです。

タンパク質
タンパク質は生命活動に欠かせない栄養素
タンパク質は英語で「プロテイン」、ギリシャ語で「プロテオス」が語源と言われており、元々は「プライマリー:第一の」といった意味をもっていました。
このことからも分かる通り、タンパク質生命活動の鍵を握る栄養素で、人体の構成成分として必要不可欠なものです。
私たちの筋肉や臓器、皮膚、髪、爪もすべてタンパク質を材料として構成されてています。
また、体を作るだけでなく、代謝反応に不可欠な酵素、機能を調節するペプチドホルモン、神経伝達物質、遺伝子、血液成分、免疫の抗体などにもなります。
エネルギーとしても利用され、1gあたり4kcalのエネルギー源になります。
タンパク質はこのように生命活動に不可欠な栄養素ですから、短期間の不足でも以下のような様々なトラブルを引き起こします。
- 体力やスタミナの低下
- 病気に対する抵抗力の低下
- 思考力や記憶力の減退
- 発達障害の発言(成長期の子どもの場合)
- 死の危険(長期間不足した場合)
タンパク質は20種類のアミノ酸が組み合わさっている
タンパク質はアミノ酸という化合物が結合したものです。
アミノ酸には20種類あり、これらのアミノ酸がそれぞれ含有量を変えて結合することにより、性質の異なる、無数の種類のタンパク質が作られます。
アミノ酸の中で、体内で合成されないために外から摂取しなければならないものを必須アミノ酸、それ以外を非必須アミノ酸と呼びます。

ビタミン
三大栄養素の働きをスムーズにする潤滑油
私たちは食事を主な手段として、様々な栄養素を摂取し体を維持しています。
中でも、糖質、脂質、タンパク質は血や肉になったり、体を動かすための大切な栄養素であり、三大栄養素とも呼ばれます。
しかしこれらの栄養素もこれだけでは体内で健康を維持するための役には立ちません。
細胞内に運ばれた三大栄養素が十分な力を発揮するためには、潤滑油として働く栄養素が必要であり、それらの栄養素こそがビタミンやミネラルです。
これらは少量でも重要な役割を果たすことから、微量栄養素とも呼ばれます。
中でもビタミンは摂取量がわずかであっても、足りない場合は様々な欠乏症を引き起こします。また、深刻な欠乏症に至るまで気づかないケースも多いです。
そのため、普段からビタミンの理解を深め、気を付けて摂取する必要があります。
ビタミンの種類と特性を知る
ビタミンには13種類あり、それらは水に溶けやすい水溶性ビタミンと、油に溶けやすい脂溶性ビタミンに分けられます。
水溶性ビタミン(9種類)
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ナイアシン
- パントテン酸
- ビタミンB6
- 葉酸
- ビタミンB12
- ビオチン
- ビタミンC
脂溶性ビタミン(4種類)
- ビタミンA
- ビタミンD
- ビタミンE
- ビタミンK
水溶性ビタミンは水に溶けやすく、熱に不安定であるため、過剰な水洗いや長時間の加熱は避ける必要があり、脂溶性ビタミンは油と一緒に取ることで体内に吸収されやすくなるという特徴があります。
いずれにしても、ビタミンは非常に繊細でデリケートな栄養素なので、上手に活用するためには正しい調理法や保存方法を理解しておく必要があります。

ミネラル
体の組織づくりや調節に必須の微量栄養素
私たちの体は水、脂質、タンパク質、炭水化物といった分子でできています。
また、これらの分子は元素が結合してできています。
人体を構成している元素は約60種と言われていますが、水素、炭素、酸素、窒素が全体の96%を占めており、この4元素を除いた4%がミネラル(無機質)となっています。
ミネラルは骨や歯の構成成分として、また有機質と結合し、体の組織を作る上でなくてはならない栄養素です。
体液に溶けて遊離イオンとして存在するミネラルは、pHや浸透圧の調整において重要な役割を果たしています。
また、ミネラルは体の調節機能としても、体の潤滑油としての役割を果たしています。
三大栄養素が十分な力を発揮するためには、ビタミンやミネラルといった微量栄養素の力が不可欠なのです。
生き物が生命を維持するには、体内に取り入れたものを必要な物質に作り変える働きである、代謝が必要です。
代謝を行うには酵素が必要ですが、酵素はタンパク質からできており、生体内で化学反応を促進します。
この酵素が働いて活性化するために、ビタミンやミネラルの存在が必要不可欠です。
これらが不足すると、酵素が本来の役目を果たせず、代謝がうまくいかないために体調を崩してしまいます。

食物繊維
注目を浴びる第6の栄養素
以前は体の栄養素にならない役立たずなものとして見られていましたが、1971年に医師であるバーキットが「食物繊維の摂取量が少ない人は大腸癌になるリスクが高まる」という仮説を発表し、それから注目されるようになりました。
これはバーキットがアフリカ人が極端に大腸がんになるリスクが低いことに注目し、アフリカ人とヨーロッパ人の生活を比較した結果、導き出された仮説でした。
その後の研究により、食物繊維の持つ効用が次々に明らかになり、今では第6の栄養素と呼ばれるようになりました。
いろいろな種類の食品から上手にとる
食物繊維は炭水化物に分類されますが、糖質とは異なり消化されません。
現在の定義では、「ヒトの消化酵素では消化されない食事中の難消化成分の総体」とされています。
食物繊維には様々な種類がありますが、大別すると水に溶ける「水溶性」、水に溶けない「不溶性」とにわかれます。
穀類や豆、野菜、イモ、海藻、キノコなどに多く含まれており、性質によって働きが異なるため、多種類の食品からバランスよく取るのが効果的です。

ファイトケミカル
多くの注目を集めた新しい栄養成分
1970年代までは、これまで紹介した6つの栄養素で体に必要な栄養素については全て見出されたと考えられていました。
ところが、1980年代以降の植物学や薬理学の研究過程において、植物の中に人間の体内で重要な働きをする、ビタミンやミネラルとは異なる物質が含まれていることがわかってきました。
新たに知られるようになったこれらの物質がファイトケミカルです。
豊富な種類があるファイトケミカル
ファイトケミカル(phyto-chemical)の「ファイト」はギリシャ語で「植物」を意味します。
もともと植物自身が有害光線や虫から身を守るために作り出す物質で、野菜や果物、豆類などの植物性の食品に豊富に含まれています。
その種類は数千種類あり、1つの野菜や果物にも数十〜数百種類存在しています。
ファイトケミカルの多彩な働き
1994年のニューズウィーク誌には「ビタミンやミネラルを超越する物質、がん予防の切り札になる」と、ファイトケミカルが紹介されました。
ファイトケミカルは人体に入ると持ち前の抗酸化力を発揮して、活性酸素の攻撃から細胞を守ります。
β-カロテンの抗がん作用があることでよく知られていますが、β-カロテンもファイトケミカルの一種です。
ファイトケミカルはがんを予防するだけでなく、以下のような生活習慣病にも有効とされています。
- 動脈硬化
- 心筋梗塞
- 脳卒中
- 血液障害
- 老化防止
ファイトケミカルは従来の栄養素と異なり、摂取量が少ないからといって、すぐに欠乏症や病気を引き起こすことはありません。
そして活動をするためのエネルギー源にもなりませんが、健康を保つためには必須の成分です。
そのため今では第7の栄養素と呼ばれており、日本語では「植物由来の抗酸化栄養素」と訳されます。

おわりに
以上、7大栄養素の特徴でした。
学生の頃はさほど興味を持っていませんでしたが、自分の健康を気にするようになると自然と興味が湧きますよね。
今後も栄養学に関する知識を深め、自分、そして人々のベストコンディションの獲得に役立てたいと思います!
それでは今日はこのへんで〜!