座りっぱなしの生活は宇宙空間で過ごすことと似ている!?

運動

 

皆さんは普段どんな状態でいることが多いでしょうか?

 

現代人の多くが、

 

  • 仕事はデスクワーク中心だから座っている時間が長いかな
  • 家では横になってYouTube見てるー
  • 普段の生活ではあまり動かないから定期的に運動してる!

 

といった生活習慣を送っている方が多いと思います。

 

というのも、

私たちは子供の頃は活発に動き回りますが、発育がピークを迎える時期(20歳前後)を境に体を動かすことが少なくなってきますよね。

受験勉強のために長時間机に向かったり、会社に就職したら1日何時間も座りっぱなし、なんてことも多いと思います。

この記事では「座りすぎ」「動かなすぎ」が引き起こす様々なリスクについて解説していきます。

 

座りっぱなしは宇宙空間にいることと同じ?

person skydiving on air during daytime

宇宙から帰還した宇宙飛行士が両脇を抱えられながら何とか立っている」というような光景って見たことありますよね。

その原因は宇宙空間にいることで平衡感覚が薄れたり、無重力状態に慣れて筋肉量が落ちてしまうことが原因です。

1970年代初頭に有人飛行が行われた際、医学界では「宇宙空間に行くと身体が老化する」という仮説が立ちました。

その仮説を検証するため、健康な若い男女のボランティアに協力してもらい、ベットに横たわり続けてもらうことで体にかかる重力を分散し、なるべく無重力状態に近づけるという実験が行われました。

その実験の結果、宇宙空間に比べてゆっくりとはいえ、宇宙飛行士に起きる身体の変化と同じような変化が見て取れました。

つまり、「重力がかからない状態でいればいるほど身体の機能は弱まっていく」のです。

そして、「立っているとき」に重力から受ける恩恵が最も大きくなり、「横になっている」「座っている」ときはとても低いことが分かっています。

 

座りっぱなしが引き起こす弊害とは?

もう1つ、身体の動きを見る研究を紹介します。

長寿医療センターの研究員が8年の歳月をかけて1,000人以上の高齢者を調査しました。

研究員は高齢者たちを以下の3つのカテゴリーに分類しました。

 

  1. 充分に体を動かせて活動的な人
  2. 思うように体は動かせないがある程度活動的な人
  3. 体を動かせず座りっぱなしな人

 

その結果、男女問わず①のカテゴリーの高齢者にくらべ、②に分類された高齢者達は死亡リスクが2倍、③の高齢者グループにいたっては3倍という結果となりました。

このように、寝たきりや座りっぱなしの状態が長く続くと、「心筋の萎縮」「骨格筋の減少」「血管機能の損傷」などを引き起こしやすくなり、死亡リスクが高まります。

また、それと同時にリスクゾーン(誰にも頼らず生きていけるまでの年齢)に到達する年齢が早まっていきます。

 

骨格筋には2種類の筋肉がある

boy standing near dock

骨格筋には2種類のタイプの筋肉があります。

筋肉と聞いて私たちがすぐイメージするのが、体を動かすのに使われる「動かすタイプの筋肉」です。

それに対し、正しい姿勢を保つのに使われるのが「支えるタイプの筋肉」です。

 

2つの筋肉の性質の違いがこちらです↓

動かすタイプの筋肉 支えるタイプの筋肉
ジムやトレーニングで鍛える筋肉 立つ際の背骨周りなど、小さな力が継続して使われる筋肉
収縮すると大きな力を発揮できるが、すぐに疲れてしまう性質がある 重力に逆らう必要がなくなるとたちまち弱くなる性質がある

 

重力をあまり使わない状況下だとこの「支えるタイプの筋肉」が使われないため、

筋肉が弱まっていき、機能するミトコンドリア(細胞内でエネルギーを生産してくれる)は小さくなって数も減少します。

その結果ミトコンドリアによる酸化的代謝が乱れ、有害な過酸化物質を発生させ、インスリン抵抗性(インスリンが正常に働かなくなる状態)が生じ、筋肉に中性脂肪が蓄積されていきます。

つまり、たとえ普段からランニングやスポーツジムで運動する習慣があったとしても、座りっぱなしの時間が長ければ健康を維持することが出来ないのです。

 

大切なのは「動き続ける」「姿勢を変える」こと

じゃあずっと立ってなきゃいけないの!?」と思われるかもしれませんがそうではありません。

長時間立ったままだと「足腰の痛み下肢静脈瘤」といった症状を引き起こします。

大切なのは長時間立ちっぱなしでいることではなく、頻繁に立ち上がるなどして姿勢を変えること」です。そうすることで筋肉が収縮し、血流、血液量、ホルモンに変化が起きます。そしてほとんど全ての神経が刺激されます。

2000年代初頭に、アメリカのミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックの研究者ジェームズ・レヴィンは「非運動性活動熱産生(NEAT/Non-Exercise Activity Thermogenesis)」というコンセプトを作り出しました。

NEAT(ニート)は「立ち上がる」「物を取る」といった日常生活における運動時以外のエネルギー消費のことです。

 

そして、日常生活で消費するエネルギー全体において、このNEATはランニングやジムでのトレーニングといった強度が高く計画的な運動よりもずっと大きな割を占めています。

よって、1日中しょっちゅう動き回っている人は、スポーツジムに行く以外は座りっぱなしで1日を過ごしている人よりもカロリー消費量が多いです。

先にも述べたとおり、長時間の座りっぱなしを解消するためにジムで運動するくらいなら、ジムに行かずに家やオフィスで動き回っている方がよっぽど健康的と言えるのです。

 

具体的なアクションプラン

boy riding on surfboard holding black boat oats during daytime

ではこの「NEAT」を実践していくにはどうすればいいのでしょうか?

日常の生活の中で下記のような行動を意識的に取り入れていきましょう。

 

  • ストレッチ
  • 立ち上がる/座る
  • 背筋を伸ばす
  • 階段を選ぶ
  • 立ったままズボンや靴下を脱ぎ着する
  • ネット経由ではなく、お店で買い物する
  • スポーツをする

 

特に上の方の「ストレッチ」「立ち上がる/座る」「背筋を伸ばす」は超簡単に実践できると思います。

最初は意識して取り組むのが面倒臭く感じると思いますが、慣れたら無意識に出来るようになります。

自分もよく家のソファで読書するのですが、座るのに飽きてきたら立ち上がって歩きながら本を読んだりしています。

 

参考文献

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

この記事では多くの現代人が抱える「座りっぱなし」問題を取り上げてみました。

日常でNEATを取り入れることに慣れてくると、徐々に「長時間動かない」状態が苦痛に感じるようになります。

こうなれば占めたものです。どんどん動いて、身体機能を活性化させましょう!

また、いくら健康に気を遣っていたとしても私たちは徐々に老いていきます。

でもなるべくなら「死ぬまで健康で他人に頼らず生きていきたい」ですよね。

今楽をして後で苦しまないためにも、今ちょっと苦労して後を楽にしましょう。

 

それではまた~♪