タイトルを見て少なからず衝撃を受けた人もいると思います。
日本では猫背で悩んでいる人がけっこう多いと思います。
そんな多くの人を「猫背」ですが、本来猫背を解消する手段であるはずの「背筋を伸ばそうとする」という行為をしてはいけないとはどういうことなのでしょうか?
目次
背筋を伸ばそうとしても猫背は治らない
この記事をご覧になっていただけているということは、少なからず猫背に悩んでいる方かと思います。
僕もつい最近までこの猫背に悩まされ続けていました。
とくに中高生時代の頃なんかは親によく注意されていました。
そのたびに「うるせーなー」と思いながら背筋を伸ばすも、気づいたらすぐ猫背に戻ってしまいます。

大学生の頃には姿勢矯正サポーターも買って治そうとしましたが、取り外したら結局またすぐに猫背に戻ってしまいます。
ではなぜ背筋を伸ばしても猫背は治らないのでしょうか?
「背筋を伸ばす」という行為は「上体を反らす」行為なのでどうしても長時間無理して行っていると疲れてしまいます。
人間は結局楽な状態でいることを求めます。
自然な状態から離れて無理をするといずれダメになってしまう存在なのです。
つまり猫背になってしまう人は「猫背でいることが楽」なのです。
この「楽な状態」が猫背を解消する上で大きなヒントになります。
そうです。「猫背でいる状態が楽」なのであれば、「猫背ではなく背筋が伸びた姿勢が楽」という状態を作り出せば良いのです。
猫背を治すには重心の位置が大事
猫背で悩んでいる人は主に「立っているとき」と「座っているとき」に猫背になってしまうと思います。
対して「寝ているとき」は当然猫背ではなく自然と背筋が伸びている状態だと思います。
そしてこの「寝ているとき」以外にも「背筋が自然と伸びてしまうとき」があります。
それは以下の画像のように「膝立ちしているとき」です。
試しに柔らかい椅子やソファに膝立ちしてみてください(祈る必要はありません笑)。
「立っているとき」とは対照的に、無理に力を入れずとも自然に背筋が伸びている状態を作れると思います。
このときの姿勢の骨格図を見てみましょう。

上記の画像からも分かる通り、膝立ちをしているときは「大腿骨」に体重をかけることができています。
ということは、立っているときもこの大腿骨に体重をかければ自然と背筋が伸びるかもしれません。
今度は以下の画像の赤い印に体重をかけるようにイメージしながら立ってみてください。
「足を肩幅に開いてすこし内側に絞る感じ」と聞けば分かりやすいかもしれません。
体重が大腿骨に乗っていることを感覚として掴めたら、今度は全身の力を抜いてみてください。
もし全身の力を抜いたとしても、自然と背筋が伸びている状態を保てたら大成功です。
今までずっと猫背で悩んでいる方からしたら、こんなにも身体の力を抜いた状態で背筋が伸びていることがとても衝撃的なことに感じられると思います。
そうです。今までは「背筋を伸ばす」という行為を「猫背を治すための手段」と捉えていたと思いますが逆です。
「背筋を伸ばすことによって猫背が治るのではなく、猫背を直した結果として背筋が伸びる」のです。
正しく座れば楽になれる
先ほどは立っている状態で猫背にならない方法をお伝えしましたが、座っているときはどうなのでしょうか?
座っているときも基本的には考え方は同じです。
立っているときは「大腿骨」に体重を乗せることを意識しましたが、座っているときは「坐骨」を意識します。
下記の画像を見ながら自分の坐骨の存在をイメージします。

そのあとは実際に椅子に座ってみて坐骨に対して自分の重心を置く位置を微調整します。
「ここだ!」というポイントを見つけたら全身の力を抜き、自然と背筋が伸びている状態になれたら成功です。
正しい姿勢で座ることができたら、座りながらの作業の効率が格段に上がります。
今まで前屈みの状態で作業をしていたとしたら、一見その方が楽に見えますが実は身体に大きな負担がかかっています。
前屈みの状態でいると上体が重力で下に引っ張られてしまうので、背中や首周りの筋肉で支える他ありません。
こんな状態が長時間も続けば「肩こり」や「腰痛」の症状を引き起こしてもなんら不思議ではありません。
対して、正しい姿勢で座ることができると以下のような様々な良いことがあります。
- 頼もしく知的で出来る人間に見える
- 集中力・作業効率の向上
- 首や肩の凝りの解消
- 無駄にエネルギーを使わないため、知的活動や身体的活動にエネルギーを注げられる
正しい姿勢を身につけるメリット
先ほども正しい姿勢のメリットをいくつか紹介しましたが、もう少し詳しくみていきましょう。
首や肩の凝り・腰痛が改善する
正しい姿勢を身につけるメリットは何と言ってもこれです。
日本人の多くが首や肩の凝り、腰痛に悩まされています。
現代社会はインターネットの発達により、パソコンやスマホが普及し、大人だけでなく小さな子供までもそうしたデジタルデバイスに触れる機会が多くあります。
パソコンやスマホの画面をよく見ていると、どうしても間違った姿勢になりがちです。
中でも多い姿勢が「顔が前に出て前屈みになってしまっている状態」です。
この状態では首や肩はもちろん、腰の痛みまで引き起こします。
前屈みになっている状態の腰の負担は、正しい姿勢のときと比べて倍以上にもなると言われています。
自分が中学時代にバスケットボール部に所属していた頃、まだ10代前半にも関わらず「椎間板ヘルニア」となりバスケができずにいた同学年の友達がいました。
「練習のしすぎ」「元々腰が弱い」といった原因ももちろんあるかもしれませんが、「普段の姿勢が悪かった」という原因も十分考えられます。
「姿勢が悪い」というだけで人生の楽しみを十分に味わえないなんて非常にもったいないことだと僕は思うので、「正しい姿勢を身につける」ことの重要性をより多くの人に認識していただきたいです。

身体の動きが楽になる
正しい姿勢を身につければ普段の動作や歩き方まで変わります。
猫背でいるときは重心が前側に寄っているのでどうしても太ももの前部分に力が入っていしまいます。
歩いているときは常に重心が前のめりになっているので、力が入った足で一歩一歩ブレーキをかけながら歩いているような状態になってしまっています。
正しい姿勢になると、歩き方も一変します。
正しい姿勢を取れば骨格にうまく体重を預け、リラックスできる状態になるので、猫背のときみたいに前に倒れ込むような歩き方ではなく、ダイナミックかつスムーズな歩き方に変貌を遂げることができます。
背筋だけでなく心もまっすぐになる
姿勢と気分は相互に依存しあっています。
雲一つない青空の下、地面いっぱいの草原にいることを想像すると気分も晴れやかになり、自然と姿勢もよくなります。
反対に、失恋や失業など、何か辛い経験をしたとき気分は沈み、気が付けば姿勢も悪くなっているものです。
ということは「気分が姿勢を決める」ということですが、これは逆も成り立ちます。
「姿勢を正しくすれば、心も良い方向にむかう」のです。
試しに以下の2つをやってみてください。
- 猫背になりながら自分が最高に楽しいと思える状況を想像する
- 正しい姿勢を取りながら過去自分に起きたもっとも落ち込む体験を思い出す
どうだったでしょうか?
どちらとも非常にやりづらかったのではないでしょうか?
このことからも姿勢が私たちの気分や心を反映していることが分かります。
正しい姿勢が人生を変える
これまで正しい姿勢の重要性とそのメリットについて述べてきました。
この記事で何より伝えたいのは、「精神と身体は繋がっている」ということです。
フランスの数学者であり哲学者でもあるデカルトは「心身二元論」を提唱しました。
この理論にならい、どうしても人は精神と身体を分けて考えがちです。
ですが私は人間の意識、いわゆる精神と、人間の生理的活動である身体は、根っこの部分で繋がっているものだと思っています。
そのため、個人の健康を維持し、人間本来の能力を最大限に発揮するためには、「精神」と「身体」両方からのアプローチが必要だと思っています。
そして「姿勢」はその最たる例です。
落ち込んだり精神状態が良くないときに姿勢が悪くなってしまうのは仕方ありませんが、特に何も起こっていない平常時に姿勢が悪くなってしまうと、ただ意味もなくネガテイブな気持ちになり、前向きになれません。
これは非常にもったいないことです。
たかが姿勢と思われるかもしれませんが、正しい姿勢を取ることは人生を変えることにつながるはずです!
以上、読んでいただきありがとうございました!
それではまた〜