糖質と脂質はエネルギー産生においてどう違うのか?

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私たちの身体は、信じられないほど複雑なシステムです。エネルギーを生産するために、私たちは様々な代謝機構と燃料源を持っています。

最も相反する2つのものは、グルコースとケトン体ですが、糖と脂肪の燃焼はどう違うのでしょうか?

 

エネルギー産生のための糖と脂肪の燃焼

グルコースは糖の分子であり、体が好む燃料源です。でんぷん質の野菜や、穀物に自然に含まれています。

身体はこれを使用して、解糖系と呼ばれるプロセスを経てATPを生成し、クエン酸回路を介してピルビン酸の分子産物を作り出します。

 

一方、クエン酸回路にて脂肪酸を燃焼させるのは、脂肪分解と呼ばれるプロセスです。

その結果β酸化が起こり、脂肪酸はアセト酢酸というケトン体に分解されます。ここからさらに2つのエネルギー分子β-ヒドロキシ酪酸とアセトンに変換されます。

これらのケトン体は、血中のブドウ糖、および肝臓に蓄えられているグリコーゲンが枯渇したときに肝臓で生成されます。

 

燃料の質の観点からの糖と脂肪の燃焼の違い

クエン酸回路における、この2つの燃料源は、全く正反対のものです。

一方は糖質から、もう一方は脂肪から得られますが、身体は状況に応じてその両方を使うことができ、それによって異なる結果がもたらされます。

 

クエン酸回路

糖質の代謝はどのように行われるの? | 看護roo![カンゴルー]

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糖と脂質、どちらの燃料源もクエン酸回路に入り、エネルギーを生成します。しかし、その結果得られるものの価値と質は同じではありません。

というのも、脂肪酸を燃やした結果、β-ヒドロキシ酪酸アセト酢酸という、解糖系とはまったく異なる2つの分子が作られます。

β-ヒドロキシ酪酸とアセト酢酸は、解糖系によって生じるピルビン酸よりも25%多くエネルギーを生成することができます。

脳と心臓のミトコンドリアの密度レベルは大体同じなので、脳と心臓共にケトン体を燃料源とすることの影響は劇的なものと言えるでしょう。

 

体内におけるブドウ糖利用の概観

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ブドウ糖が体にとって好ましい燃料源であるのには理由があります。分子結合が非常に短く、分解されやすいため、吸収が非常に早いのです。そのため、私たちは即座にエネルギーを得ることができ、簡単に貯蔵することができます。

その最大の理由は、生命が生存していく上で最も大切な臓器である脳に栄養を与えるためです。

脳は重さは成人で1,200~1500gと、体重の2~3%程しかないですが、エネルギー消費のうち20%も占めています。大脳新皮質が、これほど多くのカロリーを必要とする原動力となっているのです。

体内に蓄えられるブドウ糖の量は400g程度です。ブドウ糖はグリコーゲンという形で肝臓と骨格筋に蓄えることができます。

肝臓のグリコーゲンは100グラム、筋細胞は300グラム程度です。これは、糖質を燃焼させることで得られるエネルギーだけでも2000kcalほどになります。(糖質1gあたり4kcal)

 

そしてその蓄えが尽きると、体はエネルギー危機に陥ります。ただしブドウ糖はすでに残っていないため、ブドウ糖以外の場所からエネルギー源を調達する必要があります。

ただ幸いなことに、私たちは皆、脂肪組織の中にたくさんの体脂肪を常に持ち歩いています。例えば体重60kgで体脂肪率7%の痩せた人でも、60kg(体重)×0.07(体脂肪率)×9kcal(脂質1gあたり)=37,800kcalと、ブドウ糖とは比較にならないほどのエネルギーを持っています。

グリコーゲンの貯蔵量が枯渇すると、体はこれらの貯蔵されたトリグリセリド(脂肪)を分解し始め、より多くのエネルギーを供給するために血流を循環させ始めるのです。

 

しかし、脂質を分解するプロセス以外にも、エネルギーを得る方法はあります。

それは糖新生というプロセスで、新たなブドウ糖を作るために、体は自分の組織の一部を壊し始めめ、筋肉、骨、臓器などに由来するタンパク質を糖に変換させます。

グルコース(ブドウ糖)が体のメインのエネルギーである場合、体内のグルコースが枯渇したときに、タンパク質などの体の一部を壊してグルコースを作り出す羽目になってしまいます。

 

これが、糖の燃焼と脂肪の燃焼に大きな違いがある理由です。

 

体内におけるケトン体の活用

糖質優位の状態から脱し、脂質をメインのエネルギー源として活用できる体になるためには、グルコースの大元である糖質の摂取を制限する必要があります。

糖質を制限してから、時が経つにつれて、体の代謝状態を徐々に順応し、ケトーシスと言われる状態になります。

ケトーシス状態に入ることで、糖新生の発生を抑え、結果的に筋肉の分解を最低限に抑制することができると同時に、体脂肪という膨大なエネルギーに常にアクセスすることが可能になります。

よくグルコースは脳の唯一のエネルギーと言われることがありますが、脂質を分解することによって生じるケトン体も血液脳関門を通り抜け、脳のエネルギー消費の75%程を代替できると言われています。

 

また、脂肪を燃焼させることで、常に安定した血糖値を維持することができ、一日を通してインスリンの分泌を低く抑えることが可能になります。

一定時間食事をしないと、血糖値が下がり始め、「食事をするように」というシグナルが出ます。

高炭水化物の食事は、インスリン分泌の過度な上昇(インスリンスパイク)を引き起こしやすく、結果的に低血糖状態に陥りやすいです。

一方、脂肪を燃焼させる方法を知っていれば、この低血糖反応も起こりません。

 

まとめ

このように、糖質の燃焼と脂肪の燃焼には大きな違いがあります。

主に糖質を使う場合、私たちはブドウ糖に過度に依存し、それを蓄える小さな容量に依存しています。一方、脂肪を燃やすと、筋肉や他の重要な臓器は使わずに、莫大な量が存在する脂肪組織を利用することができるのです。

 

脂肪を燃焼させることで、エネルギー生産が増加し、総合的な健康効果が得られるため、より多くの可能性を秘めています。

脂肪を燃料として燃やす方法を体に教えるのは簡単なことではないですが、もし価値を感じるのであれば是非実践してみてください♪