こんにちは!
ヘルスコーチの銭君達です。
この記事では皆さんを腸内フローラ(腸内細菌叢)の不思議な世界に誘いたいと思います。
それでは見ていきましょう!
目次
謎に満ちた腸内フローラ
腸に関する研究は最近の栄養学の分野において最も興味深いものの一つです。
腸内フローラは腸内細菌叢とも呼ばれ、腸内に広がる膨大な数の細菌群全体のことを指します。
これらの微生物は1つ1つは非常に小さいものの、全体を通して1つのグループとして見てみると、私たち1人1人がタイプの違う腸内フローラ形成していると言えます。
そしてこの腸内フローラのタイプの違いは我々の健康状態と密接に関連しており、胃腸障害や心血管障害、喘息といった症状の原因にもなり得ます。
腸内に存在する細菌の数は100兆にものぼり、さらに約3万5000もの種類の異なる菌株で構成されていると言われています。
そしてその多くが大腸(下図の肌色の部分)、特に結腸(上行・横行・下行・S状)に存在していますが、食道や胃、小腸にももちろん様々な微生物が住み着いています。

腸は私たちが日々取り込む食べ物を消化、代謝、吸収し、各細胞にエネルギーを供給する役割を持つため、腸が正常に機能する環境を整えてあげる必要があります。
腸をいたわらないということは、自分で自分のことを苦しめることにつながるのです。
腸内フローラ、および腸内環境を整える食べ物についてもっと知りたい方はこちら👇
腸内フローラが私たちの体に与える影響
腸は食べ物を消化吸収してくれる大事な器官ですが、腸が私たちの体に与える影響はそれだけではありません。
腸の健康状態によって、
- セロトニン産生量
- 免疫応答性の違い
- 体重の増減
などが左右されるため、思った以上に腸が担う役割はとても大きいものなのです。

また、腸の総表面積はバドミントンコートの約半分(論文はこちら)とも言われており、そんな広大な面積を持つ腸が日々外部環境や食事を通じた刺激にさらされていることを考えると、日々の生活習慣がいかに私たちの健康状態を左右するか想像できますよね。
例え最初は低レベルの炎症だったとしても、それらが積み重なった場合慢性的な炎症が続いてしまい、腸の健康が損なわれ、結果的にリーキーガットや自己免疫疾患といった様々な障害につながる可能性があります。
腸内フローラに影響を及ぼす要素
そんな私たちの健康に対して多大な貢献をしている腸ですが、腸内フローラに影響を及ぼす要素としてはどのようなものがあるのでしょうか?
腸内フローラの影響因子は複数かつ複雑に絡み合っているため、一概には言えないところはありますが、代表的なものを7つ紹介します。
分娩方法
まずは分娩方法です。「そんなところまで遡るの?」と思う方もいると思います(笑)
ただ近年の研究により帝王切開で生まれる赤ちゃんは自然分娩で母親の産道を通って生まれる赤ちゃんに比べ、母親からもたらされる腸内細菌が少なく、逆に病院内の環境(助産師や病院施設との接触など)から取り込まれる細菌が多いということが分かっています。
乳幼児期の食事
乳児期に粉ミルクよりも母乳で育てられた幼児の方が母親から有益な微生物を受け取ることがわかっています。
また授乳時の母乳に含まれる微生物叢のタイプは多種多様であり、それらは授乳時の母親の健康状態、BMI指数、抗生物質の使用有無、食生活に大きく左右されます。
成人期の食事
分娩方法、乳児期に自分の腸内フローラのタイプが決まってしまうといっても、だからと言って大人になってからは何もできないというわけではありません。
成人になってからも普段の食生活が私たちの腸内フローラに与える影響は非常に大きいです。
たとえ短期間の食生活の変化をであったとしても腸内の細菌群の構成は大きく変化することがわかっています。(論文はこちら)
そして一般的には野菜を果物を中心としたプラントベースの食事が腸内の微生物群を元気にするために最も適していると言われています。
抗生物質の使用有無
抗生物質の使用は病気の際や症状を抑えるときは有効ですが、同時に良い細菌まで殺してしまいます。
そして一般的に処方される抗生物質を1回摂取するだけでも、そこから1ヶ月もの間良い腸内細菌を攻撃し続けるとも言われています。
抗生物質は現代科学の技術が詰まった非常に素晴らしいものですが、使用はあくまで必要な時・最小限にとどめ、普段私たちの健康を支える腸内細菌の1つ1つをいたわってあげましょう。
年齢
年齢によっても腸内フローラは変化します。
以下の図は「年代別に見た腸内フローラの変化」を表したものでです👇

出典:人の健康は腸内細菌で決まる!(光岡知足)
上図を見て変わる通り、出生とともに腸内細菌数が急上昇し、その後年齢の変化とともに各種細菌の構成が変わっていくのが分かりますね。
遺伝子
腸内環境はこれまで述べてきた様々な環境要因(分娩方法、食生活、抗生物質の使用有無など)に大きく影響を受けますが、もちろんいくつかの側面においては遺伝の影響を少なからず受けています。
ストレス
例え短期間の日常におけるストレスによっても、腸内フローラの構成は大きく変化することがわかっています(論文はこちら)

腸内フローラを段階的に回復させる4つのR
それでは最後に腸内フローラを回復させるプロセスである、「4つのR」(Remove, Replace, Reinoculate, Repair)を紹介します。
① Remove(取り除く)
まず1つめのRは「Remove(取り除く)」です。
この段階では腸内環境における炎症など、腸内フローラに悪影響を与える要素を徹底的に排除します。
まずは食生活で取り除けるものがあるか見ていきます。
食事をする上で、腸内フローラを傷つける可能性のあるものは以下のようなものが挙げられます👇
- 高炭水化物の食事
- 砂糖
- グルテン
- 乳製品
- 植物油(キャノーラ油やサラダ油など)
- アルコール
- カフェイン
- 人工甘味料
- 加工食品
- GMO食品(Genetically Modified Organism:遺伝子組み換え作物)
もちろん人によってアレルギーや不耐症、許容量など個人差があるため、全員が全員これらのものを一切排除する必要があるわけではありません。
ただ、自身が普段の生活において快適に生きられる状態を維持する、および能力を十分に発揮することを阻害する要因があるとすれば、それを見極めて問題を解消したいですよね。
また、「腸内フローラに影響を及ぼす」の項目でも述べた通り、腸内フローラは食生活以外にも様々なものから影響を受けます。
その最たるものはやはり「ストレス」です。
ストレスを溜めすぎないためにも、
- 必要以上に考えすぎない
- 心地よい人間関係を築く
- 質の良い睡眠を取ることを優先する
- 定期的に運動する
- セルフケアの時間を確保する
といった心がけて多大なストレスを抱えすぎないようにすることが必要です。
② Replace(置き換える)
2つ目のRは「Replace(置き換える)」です。
これまで腸内フローラに対してダメージを与えていたものから、反対に腸内細菌が喜ぶものを提供するものに取って変えるイメージです。
一般的に置き換えやすい、そして個人的に置き換えることで大きな健康効果が得られると考えているものを以下に列挙しておきます👇
- 食卓塩 → 天然塩
- キャノーラ油やサラダ油 → オリーブオイルやココナッツオイル、亜麻仁油
- 砂糖 → みりんや蜂蜜
- 精白穀物 → 全粒穀物
- 肉食中心の食事 → 野菜・果物中心の食事
自分は最近上2つの項目(塩と植物油)を置き換えたのですが、疲れづらくなった上に肌質も良くなって非常に体調が良くなったと感じています。
特にこれまで塩は食卓塩を使っていたのですが、天然塩に変えてみたところ味がまったく異なっていて、天然塩の方は海の旨味を味わっているような気持ちになります(笑)
構成成分的にも天然塩は食卓塩と違いビタミンやミネラルを豊富に含んでいるので、人体にとって適切な塩分量を確保しながら、必要な栄養素も摂取できるため非常におすすめです。

健康を維持するために具体的にどんな食事を摂るべきかを知りたい方はこちらの記事をご覧ください👇
③ Reinoculate(定着させる)
3つ目のRは「Reinoculate(定着させる)」です。
1つ目と2つ目のプロセスで腸内フローラを整える土壌を整えたら、腸内が元気になるような有益な微生物群を定着させることが大切です。
その際に大切となるキーワードが「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」です。
語感が似ているので紛らわしく感じてしまいますがこれら2つには明確な違いがあります。
プロバイオティクスとプレバイオティクスの定義について、過去の記事から引用します👇
プロバイオティクス
→腸内フローラのバランスを整え、宿主の健康に寄与する生きた細菌や酵母
プレバイオティクス
→大腸に住みついている善玉菌の増殖を促進すると同時に、悪玉菌の働きを抑制する難消化性の食品成分
つまり、「プロバイオティクス」が腸内に住み着く菌そのものであるのに対し、「プレバイオティクス」はそれらの菌の存続を左右するサポーター的存在と言えるでしょう。
プロバイオティクス
プロバイオティクス豊富な食材には以下のようなものがあります👇
- ヨーグルト/ケフィア
- 味噌
- キムチ
- 納豆
- テンペ
- ザワークラウト
- オリーブ
- 昆布茶
- プルケ
- サワードウ
- ビールやワイン
- その他の発酵食品全般
プレバイオティクス
プロバイオティクス豊富な食材には以下のようなものがあります👇
- アーティチョーク
- 玉ねぎ
- ニンニク
- 果物
- 大豆
- チコリー
- リーキ
- ゴボウ
- アスパラガス
- メープルシロップ
- ニラ
- 豆類
- ナス
- 蜂蜜
- 緑茶
- 乳製品(ヨーグルト、チーズ、ケフィア)
- その他の食物繊維(オリゴ糖)

④ Repair(修復する)
最後のRは「Repair(修復する)」です。
ステップ3で良い菌を定着させた後は、引き続き住み着いてもらい、腸内フローラを修復してもらう必要があります。
腸内フローラが回復してくると、食べ物の消化および栄養素の吸収の効率も良くなり、次第に正のサイクルが生まれてきます。
基本的にはこれまで続けてきた健康的な食生活をこれからも続ければ十分ですが、より腸内環境を健康的で盤石なものにしたいという方は、
- コラーゲン
- Lグルタミン
- アロエ
- ケルセチン
- 亜鉛
- DGL(リコリス)
といったサプリメントや、骨スープやオメガ3脂肪酸豊富な食材を摂ることが有効です。
また、日常の生活習慣において、
- 適切な量の水を飲む
- 瞑想を実践してストレスを減らす
- 十分な量の睡眠を確保する
といった当たり前に聞こえるものでもしっかりと習慣化することでより健康的かつ気分良く毎日を生きることができるでしょう。
参考文献
おわりに
いかがだったでしょうか?
今回は腸内フローラおよび腸内細菌について取り上げてみました。
この記事を最後まで読んでいただけた方なら、「腸内フローラは思ったよりも複雑で奥の深い世界を持っているんだな」ということを感じていただけたかと思います。
最近ではデブ菌・ヤセ菌といった言葉も出てきて、太った人の肛門から痩せている人の腸内細菌を含んだ排泄物(ウンコです)を注入し、腸内に植え付けると自然と痩せられる、といった話もあります。
汚い話で申し訳ありませんが、なかなか痩せられないと悩んでいる人にとっては非常に興味深い話かもしれません(笑)
今後も腸内フローラおよび腸内細菌について新たな発見などがありましたらシェアしていきますので楽しみにしていてください♪
それではまた!