こんにちは!
オプティマルヘルスコーチの銭君達です。
この記事では「運動と睡眠の関係性」をテーマにお送りしていきたいと思います。
このブログでは「食事」「睡眠」「運動」「メンタル」を健康になる上での4つの柱としてカテゴリ分けしているわけですが、
これらの4つの領域をそれぞれ独立したものとしてではなく、相互に関係し合っているものとして見てほしいんです。
そして今回はその4つの領域の中でも「運動」と「睡眠」にフォーカスを当てていきます!
それでは早速見ていきましょう!
目次
運動はどのように睡眠を改善するか?
「運動をするとよく眠れる」というのは、体感的にわかるという方も多いのではないでしょうか?
運動した日や、ほどよく体を動かした日というのは体が適度に疲れた感じがして、その日の夜はぐっすり眠れた、なんてことはよくありますよね。
では具体的にどのように運動が睡眠を改善するかと言うと、運動をすることで、
- 睡眠の質が良くなる
- 睡眠時間が長くなる
- 中途覚醒の回数が減る
- 徐波睡眠(ノンレム睡眠におけるステージ3・4にあたる深い睡眠)の時間が増える
- 成長ホルモンの分泌が促進される
といった効果が得られます。
一般的に私たちは加齢に伴い、睡眠時間そして睡眠の質共に悪くなっていく傾向があります。
年齢を重ねると、睡眠時間が短くなると同時に中途覚醒の回数が増え、徐波睡眠に至っては80代にもなるとほとんど見られなくなります。
ただし、運動をすることで、加齢に伴う睡眠の生理学的変化を食い止めることができると考えられます。
運動をすることで睡眠が若返る。つまり、「運動は睡眠のアンチエイジングにつながる」と言えるのです。
運動が睡眠の改善に効果てきめんだということが認識できたところで、じゃあ具体的にどんな運動をしていけばいいのか、見ていきましょう。
有酸素運動と睡眠
多くの人が「運動」と聞くとまず思い浮かぶのが、ランニングやウォーキングといった「有酸素運動」ではないでしょうか。
そしてこういった有酸素運動をすることで睡眠が改善されることがわかっています。
運動(特に有酸素運動)が睡眠を改善する詳しいメカニズムは完全には分かっていませんが、以下のような要素が絡んでいると考えられます👇
運動をすることにより、
- エンドルフィンが分泌され、ストレスが低減する
- 日中に体温が上昇することで、夜に体温が減少しやすくなる
- 体内時計が正常になり、夜自然と眠くなる
- セロトニンの分泌量が高まり、結果として夜中のメラトニンの産生量が増加する
実際に2013年に米国睡眠財団(US National Sleep Foundation)によって「運動と睡眠」というテーマで調査が行われており、以下のような調査結果が得られています👇
(※アンケート対象者を運動群(高強度、中強度、低強度)と非運動群に分類)
- 主観的な睡眠感:主観的な睡眠が良いと回答した人の割合は非運動群が56%であるのに対し、運動群では高強度83%、中強度77%、低強度76%と、運動をしている人ほど熟眠感が強かった。
- 睡眠時間:平均睡眠時間は4群とも類似しており、さほど違いは見られなかったが、主観的に睡眠が足りていると感じる人の割合は、非運動群よりも運動群の方が15%以上多かった。
- 主観的な睡眠の質:運動したその日の睡眠の質が良かったと感じている人の割合は、高強度62%、中強度54%、低強度49%、非運動群28%と、主観的な睡眠の質にも差が出た。

無酸素運動と睡眠
有酸素運動と来たら今度は「無酸素運動(いわゆる筋トレ)」が思い浮かびますよね。
そして有酸素運動が睡眠を改善するのは分かったけど、「無酸素運動はどうなのか?」と気になりますよね。
結論から言うと、「無酸素運動も睡眠の改善につながる」ことが分かっています。
筋トレをすることにより、
- 体温の上昇
- 心拍数の低下
- BDNF(脳由来神経栄養因子)の増加
- グルコース代謝の改善
- 成長ホルモン分泌の促進
といった効果が得られ、
結果的にノンレム睡眠の中での浅い眠りであるステージ1を減らし、その代わり深い眠りである徐波睡眠(ステージ3)の時間が増えることが分かっています。

ちなみに筋トレと聞くと、特に女性は「ムキムキになってしまうのではないか?」と不安に思う方もいるかもしれません。
ただそんな心配をする必要はまったくありません。
女性は男性に比べてテストステロンの量が格段に少ないため、ちょっとやそっとじゃ筋肉は大きくなりません。
筋肉を大きくするためには男性ですら長い時間をかけて習慣的に筋トレする必要があるので、女性が筋トレによってマッチョになってしまうのではないか、という不安は全く気にしなくていいでしょう。
そのため安心してガンガン筋トレしちゃってください♪

いつ・どんな・どれくらい運動すればいいのか?
運動する時間帯(いつ)
「運動をしよう!」と思っても、意外と疑問に思うのが、「いつ運動すればいいの?」というものです。
近年は「いつ食べるか」「いつ運動するか」による健康における効果の違いを調べる「時間栄養学」という学問も盛んに研究されてるので気になる人も多いと思います。
「時間栄養学と最適な食事リズム」について知りたい方はこちら👇
ではどの時間帯が運動に適しているかと言うと、まず大前提として「起床直後」「就寝直前」の運動は控えた方がいいと考えられます。
起床直後の運動は、起きたばかりでまだ体が温まっておらず、いきなり激しい運動をすると怪我をするおそれがあります。
就寝直前の運動も、運動は基本的に体にストレスをかける行為なので、ストレスホルモンの分泌が促進され、その結果睡眠が阻害されてしまう危険性があります。
ただ、散歩やストレッチといった穏やかな運動は、起床直後・就寝直前共に問題なし、むしろ効果的だと考えられるので、これらの運動を起きた後と寝る前のルーティンに組み込んでみるのはいいアイディアかもしれません。
では肝心の有酸素運動と無酸素運動は、それぞれいつ行うのが適しているのでしょうか?
まずは有酸素運動についてですが、ノースカロライナ州にあるアパラチア州立大学が面白い実験を行っています。(論文はこちら)
実験は以下のようなものです👇
- 健康的な40歳前後の男女を集める
- 午前7時・午後1時・午後7時に持久系の運動をする3つのグループに分ける
- 睡眠パターンを脳波測定器を使用して調べる
この実験の結果、「午前7時に運動したグループの睡眠時間が最も長く、かつ睡眠の質も良かった」ということがわかりました。
つまり睡眠改善の面から見ると、有酸素運動はなるべく午前中に行うほうがより効果的のようです。(もちろん夕方に行っても、運動しないよりかはよっぽどいいでしょう)
次は無酸素運動についてですが、筋力トレーニングに関しても面白い知見を紹介します。
2016年に若年者を対象にして行われたランダム化比較試験によると、朝と夕方のどちらの方が筋肥大に効果的かと言うと、夕方に筋力トレーニングを行ったほうが効果的だという結果が判明しています(論文はこちら)
この試験は筋力トレーニングと睡眠の関係を直接調べたものではありませんが、筋肉量と睡眠の質は相関関係にあると言われているので、
夕方に筋力トレーニングを行って効率的に筋肉量を増やすことで、結果的に睡眠も効率よく改善できると思われます。

運動の種類(どんな)
運動の種類に関しては、正直運動であればなんでも睡眠に対して効果的です。
この記事で出てきたランニングやウォーキングといった有酸素運動や、筋力トレーニングなどの無酸素運動を行ってもいいですし、
有酸素運動と無酸素運動が組み合わさった水泳やHIITに取り組んだりするのもいいでしょう。
また、ピラティスやヨガといったストレッチ系の運動も有効です。
インドで行われた研究によると、ヴィパッサナーヨガという瞑想を取り入れたヨガを実践している人の睡眠を調べてみると、
ヨガ実践者の50~60歳の人の徐波睡眠の睡眠全体における割合が10%以上と、正常な成人の30代並みの睡眠生活を送っていたことが分かっています。
それぞれの運動にメリットデメリットが必ず存在するので、自分の好みや目的に適した運動を選び、楽しみながら続けられることが大切です♪
運動の時間・頻度・日数(どれくらい)
最後は運動する時間(WhenではなくHow longの方)・頻度・日数についてです。
まずは運動する時間ですが、運動の種類や個人差によっても変わってくるので「何分または何時間やるのがベストだ!」と一概に言うことは難しいですが、睡眠に関して言えば、
オレゴン州立大学の研究によると、「1週間に合計150分の中〜高レベルの運動を行ったところ、睡眠の質が65%改善した」というデータがあるので、
「中〜高強度の運動を1日あたり2~30分」が一つの目安になるでしょう。
運動頻度に関しては、皆さんも想像する通り、少ないよりかは多いほうがいいようです。
筋トレによる睡眠の質の向上も、総負荷量は同じでも、少ない頻度(週1回)で行うよりも多い頻度(週2~3回)で行うほうが効果が高いことがわかっています。
最後に運動する日数についてですが、やはり1日だけ運動を行うよりも、ある程度の期間継続して運動を行ったほうがより睡眠が改善されると言われています。
1回の運動でも統計的には睡眠の改善効果が見られますが、運動習慣のある人の方が、
- 睡眠時間が長い
- 徐波睡眠が長い
- 入眠潜時(寝付くまでの時間)の短縮
- レム睡眠の減少
- 中途覚醒の減少(これは特に1回の運動では見られない睡眠改善効果)
といったことがわかっています。

運動と睡眠の両方を改善して、ポジティブスパイラルに入ろう
ここまで「運動をすると眠りが良くなる」という、「運動→睡眠」の図式で物を見てきましたが、逆もまた然りで「睡眠→運動」の図式、「睡眠を改善すると運動パフォーマンスが上がる」ということも事実です。
つまり「運動」と「睡眠」はお互いに「双方向の関係性(運動⇆睡眠)」にあると言えます。
よって「運動」と「睡眠」の領域のどちらかでもおろそかにしてしまうと、もう一方の領域も崩れやすくなってしまいます。
逆に「運動」と「睡眠」の両方向から改善することで、お互いの領域同士で相乗効果が生まれていきます。
つまり、以下のようにあなたが「運動」と「睡眠」のネガティブスパイラルに陥っているのであればなんとかしてそこから脱し、ポジティブスパイラルに入ってしまえばいいのです!👇

- ポジティブスパイラル:運動する→睡眠が良くなる→運動パフォーマンスが上がる&やる気が出る→さらに睡眠が良くなる
- ネガティブスパイラル:運動しない→睡眠が悪くなる→運動パフォーマンスが下がる&やる気がなくなる→さらに睡眠が悪くなる
この「運動」と「睡眠」のポジティブスパイラルに入ることで、これまで以上に健康的な生活を手にし、日々快適な生活を送れるようになることでしょう。
それでは今日はこの辺で!
