みなさんは「幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
聞いたことがない方は、「なんのこっちゃ」と感じていると思います(笑)
あまり聞き慣れない言葉だと思うので、早速この「幸福優位性」が何を意味するのか見ていきましょう。
目次
「幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)」とは
「幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)」とは、「幸福感・ポジティブ感情を感じているときの脳は、平常時やネガティブ感情を感じているときの脳と比べて、生物学的に優位性をもつ」ということです。
つまり、「幸福感を持つことで仕事における生産性や創造性が上がるだけではなく、結婚生活、健康状態、人間関係などあらゆる点においてうまくいきやすい」ということです。
「そりゃネガテイブよりポジティブの方がいいじゃん!」
と思われる方もいるかもしれませんが、実際に日常の生活においてこの「幸福優位性」の効果を十分に活用している人はまだまだ少ないような気がしています。
というのも、私たちの頭の中には、
- 「頑張った先に喜びがある」
- 「成功した先に幸せが待っている」
という固定観念があるからです。
これはあくまで私の推測ですが、このような考え方は年齢が高くなるにつれて強く持っている傾向があると感じています。
多くの人が学校に入ることで受験勉強、部活に勤しむことで頑張ることの大切さを植え付けられます。
そうした過程で、
- 「辛い受験勉強を乗り越えた先にバラ色の大学生活が待っている」
- 「辛い練習を乗り越えた先に勝利が待っている」
というような考え方を持つようになった方も多いと思います。

そして、大学を卒業したら一斉に就職活動がスタートし、大企業や良い会社に入るためのイス取りゲームが始まります。
そうして苦労して入った会社でも、頑張って苦労しながら会社に評価してもらうために出世競争に巻き込まれていきます。
頑張ることはもちろん悪いことではないのですが、「幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)」という概念はこれとは真逆の立場をとります。
- 「幸せの先に成功がある」
- 「頑張るよりも楽しむ」
というスタンスをとるということです。
つまり、「成功した先に幸せがあるのではなく、幸せの先に成功がある」ということなのです。
「幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)」を証明する様々な研究
「成功した先に幸せがあるのではなく、幸せの先に成功がある」と聞いて、
「あ~確かにそんな気がするかも」
と腑に落ちる方もいれば、
「そんなことはない!頑張ること、苦労することこそが美徳だ!」
という考えを捨てきれないという方もいると思います。
ですが、最近この「幸福感」や「ポジティブ感情」に関する研究、いわゆる「ポジティブ心理学」に関する研究や実験が盛んに行われており、どうやらこの説は正しいという意見がかなり優勢となっています。
この説の根拠となる研究を以下にいくつか紹介します。
- とある企業にて272人の社員のポジティブ感情を事前に調べ、その後18ヶ月の各人の業績や評価を追跡した。
その結果、ポジティブ感情以外の要素を調整した後でも、最初に幸福感が高かった人たちは、そうでない人よりも18ヶ月後の業績が良く、評価・給料ともに高かった。(論文はこちら) - 大学1年生時の幸福感を測り、その19年後に「収入」「仕事に対する満足度」「失業履歴」等を調べたところ、幸福感が高い学生ほど「収入が高い」「仕事に対する満足度が高い」「失業する確率が低い」傾向にあった。(論文はこちら)
このように、特に気分の良し悪しがない「平常時」や、辛い・苦しいといった「ネガテイブ感情」を感じながら物事に取り組むよりも、
「幸福感」「ポジティブ感情」を持ち合わせながら活動に取り組むことの方が結果的に成功する可能性が高まるのです。
「幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)」を高める方法
「幸福感やポジティブ感情が大事なのは分かったけど、自分は元々明るい人じゃないし、ネガテイブ気質なんだけどそうゆう人はどうすればいいの? 諦めるしかないの?」
という方がもしいたとしても、安心してください。
大丈夫です。なぜなら、
「幸福感は先天的なものではなく、後天的にも積極的に身に付けられるもの」
だからです。
自分も元々どちらというと内向的で、物事を悲観的に捉える傾向が高く、不安を感じやすいタイプです。
でも、この「幸福優位性」という概念にであってからは、「幸福感を抱く」ことは「後からでも身に付けられる技術」なんだと捉え、実践しています。
では、肝心のその「幸福優位性」を高める方法をいくつか紹介していきます。
注意点として、これから紹介する方法はもちろん全てやる必要は当然ありません。
「これならできそう」「これは自分にあってそう」と感じるものを1つでもいいので選んで、その後の自分の変化を観察してみてください。
もしその結果良い効果が生じれば儲け物です!

瞑想する
1つ目は「瞑想」です。
1~5万時間におよぶ瞑想修行をしたチベット仏教僧の脳波を調べた研究によると、ガンマ波と呼ばれる認知活動に関わる脳波の活動量(集中力に関わる)が非常に高いことがわかりました。
その後の研究では脳波の活動量の変化だけでなく、思考力や創造性を担っている前頭前野皮質の形、そして脳の部位の間でのネットワークも変化していたそうです。
瞑想の効果はこれだけにとどまらず、「感情コントロールの向上」「ストレス軽減」「痛みの緩和」「メンタル疾患の再発率の抑制」「睡眠の質の向上」などなど様々な恩恵があります。
「瞑想をする」といっても仏教僧のように「山に籠って座禅を組む」ということは全く必要なく、「毎日5分だけ呼吸に集中する」だけで大丈夫です。
これに慣れてきたら時間を延ばしたり、歩きながら瞑想してみたり、自分なりのアレンジを加えていくのも楽しいと思います♪
何かを楽しみにする
ある研究によると「お気に入りの映画が見られる」と想像しただけで脳の中にあるエンドルフィン(幸福感を抱かせる神経伝達物質)のレベルが27%も向上したそうです。
例えば、旅行をするときの醍醐味って、旅行をしているときはもちろん楽しいですが、旅行をするまで待っている間の方がなんか楽しいって感じることありますよね(笑)
それと同じで「なんだか元気でないな」「なんか気分が晴れないな」というときは自分が楽しくなるような予定の存在を思い出しましょう。
将来の楽しみを想像するだけで、実際にそれを体感するときと同じくらいに脳内の快楽中枢が刺激されます。

意識して人に親切な行いをする
「幸福の方法」という書籍を書いたことで有名な心理学者、ソニア・リュボミルスキー氏が行った研究によれば、
「1日に5つの親切な行いをするように」と指示された人は、そうでない人に比べて幸福度が有意に高く、またその幸福感は親切な行いをしなかった日でも数日間続いたそうです。
ただ、注意点としてこの親切な行いは「意識して」行わないと心理学的には有効でないそう。
なので「あ、そういえば今日駅で落とし物を届けてあげたけど、あれは親切な行いだったな」となってしまうとあまり効果は得られないかもしれません。
この「親切な行い」は「海で溺れている人を助けてあげた」のような大それたことである必要は全くなく、「食べ物を一口分けてあげた」のように小さな行いで全然大丈夫です。
また、必ずしも1日に5回行う必要もありません。
「1日1回」でも「1週間に1回」でも全くしないよりかは絶対効果が違うと思うので、無理のない範囲でやってみてください♪
周りの環境をポジティブ感情が生じやすいように整える
「人間は環境の奴隷である」という言葉があるくらい、人間は環境に依存してしまう生き物です。
気分が明るくなったり暗くなったりするのは外部環境による影響が非常に大きいです。
外部環境が私たちに与える影響を完全にコントロールすることは不可能ですが、出来るだけポジティブな感情を得やすいように環境を変える努力をすることは可能です。
今パッと思いつくものだけでもその努力には以下のようなものがあります。
- 自分の仕事場に家族や愛する人の写真を飾る
- 嫌いな人・苦手な人との接触はなるべく避ける
- 身の回りで古くなったものを新しく自分の好きなデザインのものに買い替える
- あまり気乗りしない誘いは断る
- お気に入りの音楽を部屋で流す

運動する
運動をすると先ほども出てきた「エンドルフィン」という化学物質が分泌されると言われています。
また、運動には「気分を良くさせる」効果だけでなく、「自己コントロール感覚の高まり」「ストレスや不安の減少」「生産性や仕事の能率の向上」など様々なメリットがあります。
「運動の素晴らしさ」についてはこちらの記事で詳細に解説しているのでよかったら読んでみてください♪👇
今すぐ運動を習慣化すべき理由を5つに分けてわかりやすく解説します!
「モノ」ではなく「経験」にお金を使う
研究によると、「モノ」を買ったときに得られる喜びの感情は短時間でなくなってしまうのに対し、「経験」にお金を使ったときはポジティブな感情が長続きすることが分かっています。
「モノ」とはつまり洋服、家電、消耗品といったいわゆる「物質」のことです。
それに対し「経験」は「家族と旅行に出かけた」「恋人とデートに行った」「スカイダイビングに挑戦した」のような「体験できること」です。
そのため「モノ」を買うにしても、「とにかく高級車が欲しい!」と思って買う人よりも、「この高級車買って恋人と素敵な時間を過ごそう」と考えて買う人の方が幸福感が高まると考えられます。
そういえば最近は「ミニマリスト」と呼ばれる「モノ」を最小限にして生活する人に注目が集まるくらいなので、人々が徐々に「モノを所有する」ということに対してさほど価値を感じなくなってきているのかもしれません。
固有の強みを発揮する
最後は自分の固有の強み、いわゆる「得意なことを発揮する」です。
皆さんも自分が得意なことをしているときは充実感や満足感が得られた経験を持っていると思います。
ちなみにこの「得意なこと」は「語学」や「プログラミング」といった特定のスキルでも構わないのですが、
「性格的な強み」、つまりあなたが生来のものとしてもっている「才能・資質」を掘り起こして活かすことでより幸福感が高まることがわかっています。
自分の「強み・才能・資質」を知りたい方は以下2つのサイトがオススメです。
「ストレングスファインダー」は有料ですが「VIA強みテスト」は無料で診断できます♪
ちなみに僕は「質を追い求めること」「じっくり分析・考察すること」「新しい知識を学ぶこと」といったことが得意なので、これらの「得意なこと」を活かせる「ブログ執筆の時間」はとても充実感があります!

参考文献
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回は「幸せの先に成功がある」という過去の常識からは考えられない理論を紹介しました。
これは私たちにとってめちゃくちゃ朗報だと思っています。
なぜなら「無理に頑張る必要はなく、自分の好きなことを思いっきり楽しめばいい」んですから。
みなさんもぜひ日常の中で大小様々な幸福・喜びを見つけ出し、それを存分に味わいながら人生を楽しんでいきましょう!
それでは今日はこのへんで〜♪